経営の健全性・効率性について
令和元年度決算は、令和2年度からの地方公営企業法の適用に伴い、打切り決算を行っています。収益的収支比率は、前年度に比べ3.71ポイントの減となりましたが、これは、打切り決算の影響により、下水道使用料が一部収入未済となったためで、例年どおりの方法で収益的収支比率を算出すると80.55%と、対前年度比は1.52ポイントの増となります。現在、施設の整備時に借入れた起債の償還がピークを迎えており、今後は年々減少していくことから、収益的収支比率も改善していくことが予想されます。また、前年度よりも、企業債残高対事業規模比率は高い水準、経費回収率及び汚水処理原価は低い水準となっていますが、これらも打切り決算の影響と考えられます。水洗化率については、市街化区域における汚水整備が平成22年度で完了していることから、類似団体平均を大幅に上回る100%に近い水準となっています。このような状況の中、単年度収支は未だ赤字であることから、更なる経営改善に向けた取り組みを進めていきます。
老朽化の状況について
本町においては、昭和60年度から公共下水道を供用開始し、平成22年度で汚水整備が完了しているところで、近い将来、施設の老朽化が急速に進むことが見込まれます。このような中で、施設のストックマネジメント計画を策定しており、平成30年度には緊急性の高かった管渠の改築を行ったほか、マンホールポンプ場及び久保ポンプ場の機械・電気設備については順次更新を進めているところです。今後は、管渠の状態を把握するための調査等を進めるとともに、ストックマネジメント計画の見直しを図りながら、財政負担に配慮しつつ、優先順位の高い施設から老朽化対策を推進していきます。
全体総括
本町においても、人口減少や節水意識の向上等による下水道使用料収入の減が予想されることに加え、老朽化施設の増加に伴う改築や更新等、投資需要の増が懸念されています。このような状況の中、経営基盤の強化と財政マネジメントの向上に取り組むため、令和2年度に地方公営企業法を適用し、公営企業会計に移行しました。また、さらなる経営の健全化に向けた取り組みとして、令和2年度中に経営戦略の策定を予定しているところです。適切な維持管理や施設の老朽化対策、浸水対策等、必要な施策と財政の収支バランスを保ちながら、健全で安定的な下水道サービスの提供に努めていきます。