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本県は、首都圏に位置し、大規模法人が多いことから、全国的に見て県税収入の割合が高く、財政力指数は0.84と全国平均の0.49の1.7倍、グループ内平均と比較しても1.4倍と、高い財政力を有している。
令和5年度は、過去に発行した県債の償還がピークを越えたことによる公債費の減等により、分子である経常経費充当一般財源が減少をしたことから、経常収支比率は前年度より改善した。なお、本県の財政構造は人口規模に応じて配置する警察官や教職員の人件費負担が多いことに加え、社会保障関係費が増加し、経常収支比率は高い傾向にあるため、今後も引き続き、人件費の抑制、県債の適切な管理、事務事業の見直し等により、歳出の適正化に努めていく。
人件費、物件費及び維持補修費の合計額の人口1人当たりの金額は62,213円とグループ内団体一低いコストとなっている。主な要因として、本県では全国に先駆けて平成9年から行政システム改革に取り組み職員数全体の伸びを抑えてきたためである。また、平成29年度の県費負担教職員の給与負担事務の政令市への移譲による影響も一因である。今後も引き続き、行財政改革に取り組んでいく。
知事選に伴う昇格時期の遅れ(知事選に伴い、定期人事異動が6月1日付けであったため、調査対象日である4月1日に昇格がなかったことによるもの)や、育児休業(育休)代替任期付職員の増加により、職員階層が変動し、前年度から0.7ポイント減少した。職員の給与水準は県内民間企業との均衡を基本としており、今後も引き続き、給与制度全般にわたり厳正な運用に努めていく。
簡素で効率的な県政の実現を目指し、全国に先駆けて平成9年度から行政改革に取り組み、一般行政部門の人口10万人当たり職員数は全国最少となっている。職員・組織・仕事の質を向上させ、行政組織の総合力を高める「質的向上」に着目した改革を進めており、引き続き業務量に応じた適切な定数管理に努めていく。
令和5年度は前年度より0.5%ポイント減少し、8.9%となり、早期健全化基準(25%)を下回っている。これは令和5年度に税収が増加したことで標準財政規模が大きくなり分母が大きくなった一方で、分子については、交付税措置されない県債の元利償還金の減等により、分子が小さくなったことによるものである。今後も県債発行の適切な管理を行う等、健全な財政運営に努めていく。
令和5年度は前年度より8.7ポイント減少し、64.0%となり、早期健全化基準(400%)を大きく下回っている。これは、県債現在高の減少に加え、将来負担額に充当可能な基金が増加したことによるものである。なお、令和4年度からの将来負担比率の大幅な改善の主な要因は、普通交付税の後年度精算に備えた交付税精算基金への積立等、将来負担額に充当可能な基金への積立を多く行ったことによるもので、後年度の基金活用により将来負担比率が悪化する可能性もあることから、今後も県債の適切な管理を行うことで健全な財政運営に努めていく。
平成29年度の県費負担教職員の給与負担事務の政令市への移譲により大幅に人件費が減となりグループ内で最も低い数値となっている。令和5年度は、定年延長による退職手当が減となったことに加え、地方税及び地方交付税の増により分母である経常一般財源が増となったことから、前年比0.9ポイントの減少となった。今後も引き続き、人口規模に応じた職員の適正配置に取り組んでいく。
臨時財政対策債と合わせた実質的な地方交付税の減により、分母である経常一般財源(臨時財政対策債含む)が減少したことにより、前年比0.1ポイント上昇とほぼ横ばいで推移している。今後も引き続き、事務事業の見直しや業務の効率化などに取り組んでいく。
平成30年度から政令市へ難病患者医療費に関する事務を移譲したことの影響などにより数値が低下し、グループ内平均を下回っている。令和5年度は、前年比と横ばいとなった。県民生活に直接かかわる経費であるため、今後も引き続き、適切に対応していく。
平成30年度、国民健康保険事業が新たに普通会計外となったことによる繰出金の増などの影響により大幅に数値が上昇した。令和5年度は、国民健康保険都道府県財政調整繰出金が減となったことに加え、地方税及び地方交付税の増により分母である経常一般財源が増となったことから、前年比0.1ポイントの減少となった。
平成30年度、国民健康保険事業が新たに普通会計外となった影響等により数値が低下したものの、令和元年度以降は、幼児教育の無償化への対応等により数値が上昇した。令和5年度は、子ども施策の拡充や高齢化等に伴う社会保障関係費の増により、前年比2.0ポイントの上昇となった。
令和5年度は、公債費が減となったことに加え、地方税及び地方交付税の増により分母である経常一般財源が増となったことから、前年比3.6ポイントの減少となった。県債残高は、令和6年度に2兆円台となる見込みで、中長期的には県債残高と公債費は減少傾向で推移する見通しとなっている。県債管理に係る良好な状態を維持しながら、今後は必要な投資を抑制することなく県債を適切に管理するため、「県債管理方針」を定め、適切な財政運営に努めていく。
令和5年度は、子ども施策の拡充や高齢化等に伴う社会保障関係費の増に伴い補助費等が増となったことにより、前年比1.1ポイントの上昇となった。今後も事務事業の見直しに取り組むなど、健全な財政運営に努めていく。
(増減理由)・3年度末残高は、財政調整基金の増(+809億円)、減債基金の増(+642億円)等により、基金全体で2年度末残高より1,625億円増加。・4年度末残高は、減債基金の減(-121億円)等により、基金全体で3年度末残高より121億円減少。・5年度末残高は、退職手当基金の新設(+171億円)、国庫支出金返納基金(+133億円)等により、基金全体で4年度末残高より354億円増加。(今後の方針)・財政調整基金については、不測の事態で生じる財政需要へも対応できるよう一定規模の積立は必要であるため、将来への備えとして残高の確保に努めていく。また、特定目的基金については、各基金の目的に従って適正な管理・運用を行っていく。
(増減理由)・3年度に交付された普通交付税の後年度精算に備えた積立(751億円)等による増(+809億円)。(3年度)※3年度末残高は1,917億円あるが、交付税精算分750億円(4~6年度に取崩しを予定)、4年度の財源対策活用分547億円(4年度当初予算時点で取崩しを予定)を除いた実質残高は620億円。・4年度の財源対策としての取崩(-547億円)や交付税精算分の特定目的基金への移行(-750億円)等による減(-1,255億円)。(4年度)・4年度決算剰余金の法定積立等による増(+47億円)。(5年度)(今後の方針)・本県では、過去に2,000億円規模の税収減を経験していることから、こうした不測の事態に備えて、県単独で行っている福祉、医療など、県民生活に直結する事業に影響を及ぼさないよう、標準財政規模の5%(6年度:約724億円)を目安とした積立に努めていく。
(増減理由)・3年度に追加交付された普通交付税(臨時財政対策債償還基金費)の一部の積立(392億円)及び県債償還額の平準化に備えた積立(250億円)による増(+642億円)。(3年度)・臨時財政対策債償還基金費(97億円)や県債償還額の平準化に備えた積立(24億円)の取崩し等による減(-121億円)。(4年度)・県債償還額の平準化に備えた積立(97億円)の取崩し等による減。臨時財政対策債償還基金費の積立(105億円)による増(+5億円)。(5年度)(今後の方針)・将来の償還に備え、必要に応じて積み立てていく。
(基金の使途)・交付税精算基金:法人事業税等の収入実績に0.75を乗じた額が当該税目の基準財政収入額より多いことにより生じる普通交付税の過大交付額の後年度精算への補填・公共用施設等基金:公共用施設等の老朽化対策等のための財源の安定的な確保・地域医療介護総合確保基金:医療及び介護の総合的な確保のための医療機関・公的介護施設の整備、居宅等における医療の提供、医療従事者・介護従事者の確保・国庫支出金返納基金:新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金・新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の国への返納分に係る年度を越えた管理・退職手当基金:地方公務員の定年引上げの影響により、翌年度以降一時的に増加する退職手当の確保(増減理由)・国庫支出金返納基金:6年度に国への返納予定額を積み立てたことによる増(+133億円)・退職手当基金:基金の新設による増(+171億円)(今後の方針)各基金の目的に従い適正な管理・運営を行っていく。・交付税精算基金:交付税精算(交付翌年度から3年間に分けて精算)にあわせて取崩しを予定。・公共用施設等基金:3年度に積立した120億円は、6~10年度に取崩しを予定。4年度に積立した227億円は、6~11年度に取崩しを予定。・地域医療介護総合確保基金:本県が作成した計画に基づき、医療機関・公的介護施設の整備など当該基金を活用し事業を推進。・国庫支出金返納基金:5年度に積立した175億円は、6年度に取崩しを予定。・退職手当基金:5年度に積立した171億円は、6年度に取崩しを予定。
有形固定資産減価償却率は、平成29年度以降微増しており、類似団体よりも高い水準となっている。これは、昭和40~50年代にかけて行った集中的な施設整備の結果、建設後30年以上経過した県有施設が6割以上を占めているためである。本県では、人口動向や財源確保、維持更新費等を見通したうえで平成29年3月に「神奈川県公共施設等総合管理計画」を策定し、令和4年3月に改定を行った。同計画において、庁舎等施設や道路施設等の個別施設類型ごとに、維持更新費の縮減を図るための具体的な取組みを盛り込んだ個別施設計画を策定することで、長期的な視点を持った効率的な維持管理と利活用・更新に取り組んでいる。
債務償還比率は、県債の発行抑制の取組により将来負担額が減少している結果、類似団体平均値よりも低い水準となっている。なお、令和4年度は、県債の償還が進んだことなどにより分子は減少したものの、臨時財政対策債の発行可能額が減少したことにより、分母が分子以上に減少したため、昨年度と比較すると上昇している。
県債の発行抑制や将来負担額に充当可能な基金の増により、将来負担比率は減少傾向にあり、類似団体平均値よりも低い水準となっている。有形固定資産減価償却率は類似団体よりも高く、令和3年度と比較すると微増している。これは、本県では、既存施設を有効に活用するため、施設の長寿命化対策を進め、財政負担を抑えているためである。今後も「神奈川県公共施設等総合管理計画」に基づき、長期的な視点を持った維持・更新に取り組んでいく。
実質公債費比率及び将来負担比率は、類似団体の平均と比べ低い水準となっている。実質公債費比率は、令和4年度は、徴収猶予特例債などの交付税措置されない公債費の増により、上昇したが、これまで取り組んできた県債の発行抑制の効果から近年は低い水準で推移している。また、県債の発行抑制に加え、充当可能な基金の増等から将来負担比率は減少傾向となっている。