経営の健全性・効率性について
①経常収支比率②累積欠損金比率経常収支比率は、前年度に比べて2.0ポイント増加した。これは、令和2年12月から第3段階の使用料改定を実施したことによるものであり、使用料収入は前年度より83,568千円増加している。令和2年度は、4か月分であった使用料改定の影響は、翌年度以降は通年に及ぶため、今後更に経常収支比率の改善が見込まれる。また、累積欠損金比率は、平成27年度に使用料改定を実施したことにより解消している。③流動比率100%を切っているが、これは地方債を購入したことによる現金の減によるものである。また、令和元年度末では繰越工事に係る前払金が181,100千円計上されており、これらが完成したため、令和2年度末では取り崩している。④企業債残高対事業規模比率第3段階の使用料改定を実施したことにより73.18ポイント改善されたが、類似団体に比べると、依然として使用料収入に対し企業債残高が多い。これは、公共下水道事業が整備段階にあり、その財源として企業債を発行していることによるものである。翌年度以降は、使用料改定の影響が通年に及ぶことにより、更に改善が見込まれる。⑤経費回収率平成30年度に第2段階の使用料改定実施以降、経費回収率が100%を超えている。また、第3段階の使用料改定を実施したことにより、翌年度以降更なる改善が見込まれる。今後も、汚水処理経費の削減等経営の効率化を図っていく。⑥汚水処理原価分流式下水道経費を控除した汚水1.あたりの処理経費で、令和元年度は147.06円となっているが決算統計数値誤りによるもので、150.00円が正しい数値である。⑦施設利用率これまで類似団体平均を下回っていたが、令和2年度は0.19ポイント差まで近づいた。今後も、処理場の統合や農業集落排水処理施設の公共下水道への接続を進め、効率化を図る。⑧水洗化率徐々に増加しているが、依然として平均値を下回っているため、引き続き接続を推進していく。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率下水道事業が保有する有形固定資産の減価償却がどれだけ進んでいるかを示す指標であり、類似団体平均値を上回っていることから、類似団体よりも資産の老朽化が進んでいることが分かる。公共下水道事業は整備段階の事業であること、また、2つの処理場を有し、耐用年数が短い機械設備が多いことから減価償却費がかさむ傾向にある。②管渠老朽化率法定耐用年数を経過した管はないため、管渠老朽化率は0となっている。③管渠改善率法定耐用年数を経過した管はないため、管渠改善率は0となっている。
全体総括
令和2年度決算は、前年度に引き続き当期純利益を計上し、経営状況は改善の傾向にある。これは平成27、30年度及び令和2年度に実施した使用料改定の効果が大きく、長年繰り入れていた赤字補てんとしての基準外繰入も平成30年度に解消された。翌年度以降は、使用料改定の影響が通年に及ぶため今後も経営改善が期待できる。しかし、今後も汚水管渠及び雨水管渠の布設並びに処理場設備の更新などの事業が予定されていること、流動比率は減少していることから、施設の統廃合の推進や汚水処理経費の削減など、事業運営のさらなる効率化を図っていく。また、平成29年度に策定し、令和3年度に見直しを行う予定の経営戦略に対する進捗状況を毎年管理することで、計画と実態の乖離を把握し、経営健全化に努めていく。