経営の健全性・効率性について
令和2年6月調定分から使用料改定を行った結果、⑤経費回収率が大幅に向上し、①経常収支比率も100%以上となっており、費用を使用料収入で適切に賄うことができています。このため、②累積欠損金比率は0%となっています。⑥汚水処理原価は、法非適用時とは算出の考え方が異なるものの、類似団体平均値よりも低水準で推移しており、今後とも費用削減に努め、健全な経営を維持する必要があります。一方、③流動比率は類似団体平均値を大幅に下回っています。流動負債の内容としては、建設改良のために起こした企業債の元金償還金が多くを占めており、損益勘定留保資金・資本費平準化債・一般会計出資金により支払っているため、資金不足とはなっていません。財源の管理が複雑であるため、今後も不足が生じないよう適正な管理を継続する必要があります。④企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均値よりも低水準で推移していますが、今後は老朽化した施設の改築更新が必要となるため、企業債残高が増大する見通しです。改築更新にあたっては、⑦施設利用率が低水準であることから、処理場を適正規模にダウンサイジングすることが必要となっています。今後も人口減少が続くことを踏まえ、適正な投資規模を検討しながら、⑧水洗化率の向上に努めていきます。
老朽化の状況について
令和2年度から法適用企業となり、減価償却費を計上するようになったため、①有形固定資産減価償却率は低い値となっています。また、現時点では法定耐用年数を経過した管渠がないため、②管渠老朽化率は0%となっています。しかし、管渠の改築更新に未着手であるため、③管渠改善率が0%となっており、今後の老朽化対策が必要となっています。本市においては、終末処理場(境野水処理センター)の老朽化・耐震性能不足が深刻な問題となっています。このため、令和3年度中にストックマネジメント全体計画を策定し、老朽化の状況を明確化してリスク評価を行ったうえで、優先順位を設定し、長期的な見通しの下で効率的な改築更新を実施するよう努めます。
全体総括
令和2年度から法適用企業となり、経営基盤の強化に取り組んでいます。特に懸案事項となっていた使用料の適正化については、令和2年度までに3段階で引き上げを行いました。この結果、1か月20㎥での月額(税抜)は、次のとおりとなり、経費回収率の向上に寄与しました。・改定前(平成29年9月まで)1,510円・第1段階(平成29年10月改定)1,760円・第2段階(平成30年10月改定)2,100円・第3段階(令和2年4月改定)2,500円また、ストックマネジメント全体計画と合わせ、同計画に組込む形で経営戦略を策定します。人口減少と30年間の改築更新を踏まえ、適正な使用料水準で持続可能な事業となるよう、経営努力を続けます。