経営の健全性・効率性について
本町の上水道事業は,県内3番目で大正15年に創設され給水を開始している。水道料金については,平成5年に改定後現在まで至り,1か月20㎥当たり家庭用料金で見ると,2,640円で類似団体の3,417円と比較しても777円安い単価設定となっている。そのような中で,経営面からみると単年度純利益では毎年黒字であり累積欠損はなく,併せて料金回収率も類似団体と比べ高く,経常収支比率,流動比率なども類似団体と比較しても良好であり,健全な財政運営がされていると分析している。しかしながら,逆に考えると,県内で3番目の創設上水道であり,一部の施設・管路においては更新されず(有形固定資産減価償却率が高く),その結果漏水が多く(有収率が類似団体より高く),施設利用率からみても高い稼働率で運転をしていることが伺える。施設の設備投資を抑えることは,企業債の借り入れを抑制でき,収益的支出で減価償却費の支出が抑えられるため,良好な財政運営ができるが,反面施設の老朽化が一挙に進み,漏水事故などが発生しやすくなる面がある。水道利用者に適正な負担を求めながら,必要に応じて適宜設備投資を行い,安全・安心な水の安定供給に努める必要がある。
老朽化の状況について
長期財政計画を立て,毎年度の建設的投資可能額を定め,その範囲内で設備投資を行っている。水道管路については,老朽管の更新に努めているが,老朽化の進行に併せた更新ができない現状にある。その結果,有収率の低下を招き,財政の悪化につながる恐れがあるため,計画的な更新が望まれる。一方,上水道区域内には,11か所の水源地,11箇所の配水池を有しているが,現地でないと水位情報,流量情報が把握できず,危機管理の面からも課題であったため,平成26年度から「中央監視システム整備」を進めているところである。
全体総括
年々給水人口が減少傾向であり,平成21年度から平成26年度までに446人減少している。併せて使用水量も減少しており,料金収入が同5年間で約12,000千円減少している。過去5年間の財政状況を見てみると,毎年純利益が生じ,累積欠損も生じていないが,今後同様に給水人口が減少に転じれば,採算性が取れなくなる恐れもある。反面,老朽化で更新しなければならない施設が急増することも予測されるため,長期財政計画を立て,安定財源の中で計画的な施設更新を図る必要がある。