経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については、前年度に対し、約1.1%の増となりました。コロナ禍による家庭使用量の増加が主な要因として考えられますが、依然として施設の老朽化が進んでいるため費用削減に努めます。令和4年度からは同会計に隣接事業体との用水供給事業を開始していくため、今後の更新投資財源を確保していきます。②累積欠損金比率について、前年度同様に0%を維持しています。③流動比率については、企業債償還金の増により前年度に対し約16.8%の減少となりましたが、令和5年度に企業債の償還ピークとなることから、今後は改善傾向となる見込みです。施設等の更新による投資に現金が必要となるため資金繰りに注視する必要があります。④企業債残高対給水収益比率については、類似団体平均値より高い要因として、企業債に依存した下水道関連事業が一時期に集中していたため、令和5年度に企業債の償還ピークとなりますが、引き続き計画的な資金繰りに努めます。⑤料金回収率については、前年度同等となりました。これは人件費や修繕費、施設運転経費等の経常費用の増による給水原価の高騰が要因となっています。年間有収水量は増加しているため、より効率的かつ経済的な手法を検討し、費用削減に努めます。⑥施設利用率については、類似団体平均値よりも若干高い数値となっています。給水人口の減少に伴う料金収入減を鑑み、令和4年度から隣接事業体との用水供給事業により段階的な広域化による増加を見込みます。⑦有収率については、老朽管の更新や漏水修理等により前年度に引き続き改善しています。今後も計画的な管路更新及び必要な漏水調査を実施し、有収率向上に努めます。
老朽化の状況について
①有形固定資産償却率については、類似団体平均値より低い数値となっています。管路経年化率も同様に類似団体平均値より低い数値であることから、主に管路以外の施設の老朽化が進んでいることが推測されます。浄水場更新等の大規模施設の改修を控えているため、計画的な更新を行っていかなければなりません。②管路経年化率については、昭和50年代、集中的に布設された管路が耐用年数を超過したことにより経年化率が増加している状況です。今後10年間は経年化率の増加は緩やかになることが予測されるため、管路の更新投資の平準化を図りながら、計画的かつ効率的な更新に努めます。③管路更新率については、平成30年度より残存する石綿管の更新のために事業規模を拡大し、集中的に取り組んでいることから類似団体平均値を大きく上回っています。今後は将来の更新投資を平準化するため、重要度や優先度に応じた更新時期の検討を行っていく必要があります。
全体総括
・投資に関する分析について管路更新率が平均値よりも高く減価償却費も高いため管路の更新投資は進められていると判断できます。管路以外の施設の老朽化が予測されるため、施設についても計画的な更新が必要になります。また、現在建設改良費は超低金利の企業債に依存した財源となっていますが、今後の金利動向に注視し、自己資金と企業債の財源バランスを検討していきます。・財政に関する分析について集中的な下水道関連事業による企業債の償還が経営を圧迫していますが、間もなく償還ピークを迎えるため、今後は改善されていく見込みです。しかし、浄水場等の大規模投資も見込まれるため、将来を見据えた財源確保に努めていかなければなりません。現状、黒字経営を維持し、経常収支比率及び料金回収率ともに類似団体より高い水準での経営となっているため、健全であると判断できます。