経営の健全性・効率性について
①②⑤から、経常収支比率は100%以上を保持し、類似団体平均値を14.8ポイント上回っている。料金回収率も前年度より改善し、直近5年間100%以上を確保し、給水費用は水道料金によって賄われており、累積欠損金も発生していないことから、飯豊町水道事業は健全な経営状態にあると考える。③④から、流動比率は昨年度から改善し、理想とされる200%も超えていることから、短期債務に対する支払い能力は十分担保されている。企業債残高対給水収益比率については、近年実施した大型投資もあって300%を超えている。順次老朽化する施設更新のため多額の資金が必要となるが、企業債残高に留意しつつより効果的な事業推進を図り、経営の健全性の維持に努めていく。⑥⑦⑧から、給水原価は前年度より7.7ポイント減少し、類似団体平均値より17.1ポイント下回ることができた。施設利用率は年々減少しているが、有収率は年々上昇しており、前年度より3.7ポイント上回った。維持管理費など固定経費が抑制できない状況のなか、配水量が減少した一方で、有収水量が増加したことが要因と考える。引き続き有収率向上対策に注力していく。
老朽化の状況について
飯豊町の水道施設は、昭和42年に各地区の簡易水道を統合し現在の上水道に至っており、中津川地区については、簡易水道が昭和39年及び昭和46年に創設され現在に至っている。途中、普及率の増加に伴い給水人口が増え、第一次から第四次拡張事業を経て、特に第三次拡張事業では地下水源の導入、第四次拡張事業では、萩生水源を導入するなど数々の水道施設整備を実施してきた。飯豊町では、法定耐用年数を経過した管路が、ここ数年、全国平均値や類似団体平均値よりもはるかに多く保有していた状況にあったが、老朽管の更新を順次進めており、類似団体が悪化傾向にある中、飯豊町は、改善傾向にあると言える。浄水及び配水施設などの主要な基幹施設においても経年劣化が進んでおり、新規整備した取水施設を中心に、既存施設の更新、耐震化について長期的視点に立ち実施していかなければならない。
全体総括
全体から、財務の安全性については引き続き良好な状態を維持していると考える。町内3水源(置賜白川表流水、萩生湧水、中地下水)で、安定供給に努めているなか、浄水場や配水池などの基幹施設を始めとする施設の老朽化には十分な対応ができていない。この老朽化対策には多額の資金が必要となる。人口減少社会に突入し、現在保有する施設を今後どのように維持管理していくか、しっかりとした見通しの下、効率的な実施に努めていかなければならない。利用者満足度と公営企業として安定経営をしっかりと果たしていかなければならない。