経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、R02より料金値上げを行ったことにより、上昇傾向へ転じているが、100%を下回っており黒字化まで至っていない。流動比率についても、R02の料金値上げにより、資金収支が改善し、現預金が増え上昇傾向へ転じているが、200%を大幅に下回っており、安定的な資金状況ではない。企業債残高対給水収益比率は、R03に起債事業を行わなかったため減少しているが、R04以降は、施設等更新計画に基づき、企業債を財源とした更新事業を予定しているので、上昇傾向に転じる見込みである。料金回収率については、新型コロナウィルス感染症対応による水道料金減免の影響で、R02は減少しているものの、R02に行った料金値上げにより、R03の料金回収率は大幅な上昇となっている。有収率についても、R03に大量に漏水している箇所を修繕し、大幅な上昇となった。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率が高いことから、施設全体の老朽化が進んでいる。管路経年化率については、下市木・志原地区で一体的に整備した配水管が、法定耐用年数(40年)を超過したことにより、大幅増となっている。今後、管路だけでなく浄水場等の設備が法定耐用年数を超過してくるなか、耐用年数や経過年数、実際の老朽度、重要度等を考慮し優先順位付けした施設等更新計画に基づき、資金と人員の観点から、事業量を平準化し更新を行っていく予定である。
全体総括
R02行った15%の料金値上げは、大幅な損益赤字、資金減少を食い止め、数年後には事業の運営が危ぶまれる資金状況を回避するための料金値上げであったので、R02以降、資金収支は改善し、流動比率も若干の上昇に転じた。しかし、R03以降、法定耐用年数を経過する浄水場施設や管路等の増加が見込まれており、現在の資金収支状況では、事業運営を行うのが精一杯で、更新費用を捻出できず、老朽化した施設の更新ができる状況ではない。中長期の持続可能な事業運営をはかるためR03に作成したアセットマネジメント(資産管理計画)、施設等更新計画に基づき更新を行うためには、更なる料金改定等の資金収支改善策を早急に行う必要がある。