経営の健全性・効率性について
本町の経常収支比率は、91.35%であり、全国平均(111.39%)や類似団体平均値(105.77%)のいずれからも大きく下回っている。反対に累積欠損金比率は今年度も単年度収支が赤字であったため77.86%と、全国平均(1.30%)や類似団体平均値(28.03%)を大きく上回り、年々経営状況が悪化していることを示す結果となった。これは平成27年度から簡易水道事業と統合したことが大きく影響していると言える。本町の地理的特性でもある中山間地域の水道事業を担っていた簡易水道事業は、少子高齢化による人口減少に伴い給水人口が年々減少しているうえに、施設は点在しているというデメリットから経常収支比率も低く、健全経営が行えない状況にあった。その簡易水道事業と統合したことにより、上水道事業は統合前まで給水収益などで維持管理費などを賄えていたにも関わらず統合後は賄えなくなったという経営状況に陥った結果となった。また、企業債残高対給水収益比率も前年より改善されたとはいえ、平成17年度から平成21年度に渡り実施した村づくり交付金事業に伴う企業債発行が大きく影響し、687.93%と依然全国平均(265.16%)や類似団体平均値(561.34%)を大きく上回っている。供用開始から約50年経過し、老朽化による施設の更新も年々増加傾向にあるため、水道施設耐震化計画等各種計画に基づき計画的な施設の更新に向け施設規模の見直しや、適切な料金確保のため料金改定にも着手するなど健全な事業運営に向け取り組む必要がある。
老朽化の状況について
施設の老朽化度合いを示す有形固定資産減価償却率は52.96%と、全国平均(50.88%)とほぼ同じ結果である。今後、経年化による施設や管路も老朽資産の増加が見込まれるため、水道施設耐震化計画に基づき優先順位や工法、また、財源面を考慮しながら適切な維持管理や更新に取り組む必要がある。
全体総括
本町の上水道事業における経営状況は、簡易水道事業と統合したことにより年々累積欠損金が増加し厳しい局面に立たされており、経常収支を黒字に転換させるための経営改善に努める必要がある。しかしながら財源の骨幹である給水収益は、少子高齢化による給水人口の減少などにより減少が見込まれる。その反面、施設は老朽化により更新が避けられない状況にある。以上のことを踏まえ、今後は厳しい状況下のもと各種計画に基づき、中長期的な展望による経営改善に早急に努める必要がある。