経営の健全性・効率性について
本町の水道事業は、平成30年3月に町内にあった二つの簡易水道事業を統合し、同時に上水道事業の認可を取得、併せて、公営企業法に基づく全部適用事業として、公営企業会計への移行などを果たし、現在運営、維持管理にあたっている。平成30年度決算及び令和元年度決算において純損失額を計上しており、公営企業会計移行後3年目となる令和2年度決算においても220,565千円の純損失額を計上した。当年度未処理欠損金も昨年度から比較して増額し、令和2年度末で615,304千円となった。要因としては、人口減少に伴い給水人口も減少し、その結果給水収益が昨年度に比較して減少しているにも関わらず、多額の減価償却費を負担しなければならないためである。本来、水道事業は独立採算での事業推進が求められているが、年々減少していく給水収益だけでは設備投資・維持更新がままならず、一般会計からの繰出金等を充当することで事業運営を行っているところである。このような状況の中、収支の改善をはかるためには、料金改定と併せて、より経費圧縮に向けた取組及び料金滞納の解消が急務の課題である。また、経常経費についても見直しを図り、コストカットを進めていかなければならない。
老朽化の状況について
統合前の二つの簡易水道設備のうち、旧湯田地区については、統合整備事業により老朽管と施設設備更新はほぼ終了したところである。しかし、旧沢内地区の更新作業が今後に控えている。多大な設備投資となることが予想されるが、今後の給水人口の減少を見据え、給水エリアごとの供給コストを的確に把握し、スペックダウンやダウンサイジングを検討しながら、施設更新していく必要がある。
全体総括
安全で安心な水を町民に提供していくのは水道事業の使命であるが、人口減少に伴う収入減、現在施設の老朽化に伴う設備投資、水道法の改正による台帳整備、頻発する災害への耐震化対応、民間の知識等の活用など諸課題は多い。当面は、内部資金留保も見据えた料金改定、経費圧縮が最大の課題であると認識している。