経営の健全性・効率性について
前年度の渇水傾向の解消や、償却資産の更新に伴う減価償却費の減少等から、経常費用は減少したものの、感染症に伴う経済支援としての水道料金の軽減を令和3年度は実施しなかったが使用水量が減少傾向にあることや県補助金等の減額により、経常収益が伸びず、経常収支比率は増となったが、100%を下回った。単年度での損失は生じたが、欠損金は生じていないため、累積欠損金比率は0%となっている。流動比率については、支払消費税による未払金の発生による流動負債の増加と損失による流動資産の減少から、前年度比で低下しているものの、全国平均値と比較すると高い数値となっている。企業債残高対給水収益比率については、年度中の借入がなく償還が進み、給水収益が前年度より増加したことから比率は低下した。料金回収率についても100%を下回っている状況にあり、他会計補助金等の料金収入以外への依存が大きい状況にある。施設利用率については、当初計画が観光需要の見込みから平均配水量などを多く見ており、全国平均を下回っている。有収率については、料金軽減を実施しなかったことから、前々年度水準まで回復したが、管路の老朽化等による漏水等により、逓減している。前年度の経済支援の影響で変動した指標もみられるが、老朽化の進行により経常経費は増加しており、計画的事業実施による営業費用の抑制と平準化に努め、効率的かつ健全な事業運営に努める。
老朽化の状況について
事業開始当初に布設した管路について、40年以上が経過していることから管路経年化率が0.73%となったが、布設時期に若干のずれがあるため、数値に変動がない。管路更新率も0%のままであるが、主要管路の送水管の更新を予定している。老朽化の進行による配水管漏水の増加や鉛給水管交換など、修繕費や更新工事等の維持管理費用の増加が今後も見込まれる。制水弁において塩害による不具合が見られることから、制水弁更新を実施するともに、道路修繕に併せ鉛給水管の布設替えを行うなど、事業の効率化を図っている。毎年増加する維持管理に要する財源確保と事業合理化による、効率的な更新工事を実施し、収支バランスをとりながら、健全な経営への努力が引き続き課題となっている。
全体総括
経済支援という単年度の要因が解消されたものの、経営については、赤字経営となった。災害その他の緊急時を含めた、安定した水供給の観点から、施設の維持管理は重要であるが、老朽化が進行した施設更新需要は今後も増加が見込まれる状況にあり、事業の適切な実施と合理化が課題である。また他会計からの繰出金を受けていることからも財政基盤の安定化と将来負担水準の適正化が求められる。緊急性や費用対効果を十分に考慮・検討しコスト削減に併せて、経営の合理化を推進する体制作りの検討協議を行い持続可能な経営力の確保に努める。