経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、令和元年度までは110%以上を確保していたが、令和2年度以降は、コロナウイルス感染症の影響により、町内の営業施設の水道使用量が減り、給水収益が大幅に減少した。この為、経常収支比率が下がり、類似団体の平均値より下回ってしまった。一方で、短期的支払能力を示す流動比率は、平成29年度以降は工事費の未払が無くなり、流動負債が減少したため、流動比率は高水準となっている。企業債残高対給水収益比率については、健全かつ計画的な状態で維持・推移している。料金回収率については、令和2年度に100%を下回ったが、これは水道料金の2ヶ月無料を実施したため、給水収益が減少し供給単価が下ったためである。今後は耐震化による施設整備を施工していく予定があり、料金改定による収益の改善が課題である。給水原価は、100円台で維持・推移していたが、令和2年度以降は有収水量が減少したため、給水原価が若干上がった。給水原価は、類似団体平均値との比較においても低めに抑えている。施設利用率は加入者が年々減少傾向になっているが、ここ数年は横ばいで推移している。有収率は令和元年度を境に上昇傾向にあるが、70%台で推移しているが、令和3年度には、類似団体平均値よりも上回った。今後も漏水調査等を継続的に行い改善を図り、更なる有収率の向上を図って行く必要がある。
老朽化の状況について
施設全体での減価償却状況は、ほぼ50%台で推移しているが、類似団体平均との比較においても若干、高い数値を示している。一方、管路経年化率及び管路更新率の状況において、管路経年化率は40年以上経過した水道管を対象としているが、令和元年度の配管図の見直しにより、対応年数を超えた配管が年々増加していることが判明した。当町の計画上、配水池耐震化を最優先としているため、しばらくの間は、配水管の布設替工事に着手できないことが課題である。令和3年度に耐震診断結果が報告され現在、配水池耐震化を計画中である。配水池耐震化工事の完成次第、管路の更新を進めて行く予定である。
全体総括
年々、給水収益も下落傾向にあり、また人口の減少といった流れも深刻化している現状の一方で、施設や管路等の設備の維持・更新も計画的に実施していかなければならない中で、このままの推移で続けば、近い将来には費用が収益を逆転する流れの中にあり、料金改定を計画的かつ現実的に検討する時期にあるといえる。