経営の健全性・効率性について
経常収支比率は110%を超え収支の黒字を示し、経営で生ずる損失もなく累積欠損金は発生していない。流動比率も100%を超え債務に対する支払能力は劣っていない状況である。企業債残高対給水収益比率は水道事業経営戦略(投資・財政計画)に基づき令和元年度より老朽化した浄水場及び配水施設を改修した事による増加である。料金回収率も110%を超え全国平均や類似団体の平均を上回る。給水原価は類似団体と比較して低く抑えることができている。施設利用率は全国平均や類似団体の平均より高く、遊休施設もなく適正な稼働状況となっている。有収率も少しずつではあるが改善され上昇傾向にある。しかし、全国平均や類似団体の平均は下回っており配水されるすべての水量が収益になっていない。この原因は漏水が中心と見込まれ、今後も漏水防止対策を行い有収率の改善を図っていく。一般会計などからの繰り入れもなく独立採算の経営ができており良好な状態だが、今後、幸沢川浄水場・関山配水池の更新を予定しており建設改良費と企業債の増加が見込まれる。これらに対応しながら事業を進めると同時に健全経営を維持する必要がある。
老朽化の状況について
法定耐用年数を経過した管路は、公共下水道管路布設に併せ更新を行っていることにより、管路経年化率と管路更新率は低く、全国平均や類似団体の平均を下回っている。管路については概ね良好な施設と判断されるが、有収率低下の原因となっている漏水箇所の特定を行い布設替を行う必要がある。浄水場や配水池などの施設は老朽化が著しいため更新を行っている。令和2年度に伊谷配水池の更新が終了し、同年より幸沢川浄水場の更新を開始している。令和6年度からは関山配水池の更新に着手する。
全体総括
人口減少社会の到来に伴い給水量が減少することが予想され、給水量の減少は直接料金収入の減少につながり、水道事業の収益が減少することで水道事業の経営状況は厳しくなってくると考えられる。水道事業経営戦略(投資・財政計画)に基づき、漏水防止対策や老朽管の布設替えを行い有収率の向上を図り経営の健全化を進める。又、長野県水道ビジョン広域化構想に基づき、近隣自治体との水道設備の共有化や管理業務の統一化検討を行い、木曽圏域の広域化・広域連帯のあり方を検討する。