経営の健全性・効率性について
①今年度は3か月の料金無償化政策がなく、給水収益は増加したものの回復基調には至っておらず、また、一般会計からの基準外繰入金が減少したため、総収益は僅かに減少した。しかし、人件費の減少により総費用が減少したため、経常収支比率は僅かであるが改善した。③流動比率は、過去3年間は200%を超えており、当年度は470%とさらに高い水準となった。短期的な支払能力は高いといえる。④企業債残高対給水収益比率は類似団体平均値を大きく下回って推移しており、企業債への依存度は低いといえる。当年度は給水収益が増加し、また、企業債の発行額が少額であったため、企業債残高が減少した結果、比率は低下した。⑥給水原価は、昨年度とほぼ同じである。これは、経常費用は減少したものの、有収水量も減少したためである。⑤料金回収率は大幅に改善し、100%を超える比率となった。これは給水収益の3か月の料金無償化政策がなくなり、給水収益が大きく改善したためである。⑦施設利用率は、類似団体平均を下回る水準で推移しており、低い水準が続いている。施設規模の適正性を検討し、事業のさらなる効率化に努める必要がある。⑧有収率は、類似団体平均を上回っている。当年度は僅かに改善しているが、老朽管路の更新を順次行っていく必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率及び②管路経年化率はともに類似団体平均を大きく上回る高い水準で推移している。昭和11年度の供用開始から80年以上が経過しており、多くの施設が更新の時期を迎えている。一方、③管路更新率は昨年度まで0%と対応が遅れており、耐用年数を超えて使用している老朽施設・老朽管の計画的更新・修繕が、安定した事業運営のために必要である。
全体総括
今年度は、3か月の料金無償化政策がなく、給水収益は改善したものの、コロナウイルスの蔓延による影響及び観光人口の極めて厳しい状況が続き、回復基調には至っていない。しかしながら、給水収益の増加により料金回収率は100%を超える水準に回復した。水道設備については、耐用年数を超えて利用を続けている老朽化した施設・設備が多くある中で更新は遅れており、今後の更新投資ニーズの増大と維持管理費用の増加が見込まれる。施設利用率が低いことを踏まえ、施設規模の適正性を検討しながら、優先度の高いものから計画的に更新を進めていく必要がある。