経営の健全性・効率性について
経常収支比率98%、累積欠損金比率0%、流動比率100%以上であり、企業債残高対給水収益比率も類似団体内で平均的な水準となっています。料金回収率は94%となったものの、類似団体内での平均値は上回っており、比較的健全な経営と言えます。当町は、給水収益の約7割を大手旅館・ホテル等が使用する業務用が占めております。そのため、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための活動自粛等による水需要の減少から、給水収益、有収水量ともに影響を受け、過去10年間で2番目に低い数値となりました。また、観光地であるため、住民のほかに季節変動が大きい観光施設の最大需要に対応する必要があり、通年での施設利用率は低くなっています。決算状況を経年比較しますと、流動比率の減少が見られ、施設利用率が低いことから、給水量に対して維持管理費の負担が類似団体平均値より多く、今後も長期間にわたって健全な経営を維持していくことは難しいと予想されます。将来にわたり健全な経営を維持していくために、令和3年度には「箱根町新水道ビジョン」で掲げた基本理念を、事業経営という視点から実現するための方針として、「箱根町水道事業経営戦略」を策定しましたので、それらに基づき、健全経営の継続に努めていくものです。
老朽化の状況について
管路経年化率は類似団体平均値や全国平均より低くなっています。また、管路更新率についても平均より低く、近年の管路更新が十分進んでいない状況となっています。系統ごとに配水量を監視し、特異な傾向がみられる地区では漏水調査を行い、優先的に修理を行っていますが、技術職員の数も限られており、施設の老朽化に対して必要な更新が進んでおりません。今後は、令和3年度に策定をした「アセットマネジメント計画」に基づき、施設の統廃合に加え、水需要の動向を踏まえた施設規模の最適化(ダウンサイジング等)を図るとともに、施設の計画的な更新や長寿命化を推進してまいります。
全体総括
経常収支比率が100%未満となっており、令和3年度は赤字であることを示しています。また、料金水準の妥当性を示す料金回収率は、令和2年度より回復したものの、94%となりました。前述しておりますとおり、新型コロナウイルス感染症の影響を受けているため、この状況が収束に向かえば例年どおりの数値に戻ると推測しておりますが、先行きは依然として不透明でありますため、より計画的、効率的な事業運用に努めてまいります。管路更新率が年々減少傾向であり、近年の管路更新が十分に進んでいない状況となっておりますため、技術職員の確保など、中長期にわたる更新に必要な計画を進めていく必要があります。水道料金につきましては、消費税の転嫁を除いては平成13年度以降、改定を行っておりませんが、「箱根町新水道ビジョン」や「箱根町水道事業経営戦略」に基づき、効率的な事業運営に努めつつ、今後の需要予測とともに設備の更新計画とあわせて慎重に検討してまいります。