経営の健全性・効率性について
経常収支比率96%、累積欠損金比率0%、流動比率100%以上であり、企業債残高対給水収益比率も類似団体内で平均的な水準となっています。料金回収率は91%となったものの、類似団体内での平均値は上回っており、比較的健全な経営と言えます。給水収益の約7割を大手旅館・ホテル等が使用する業務用が占めておりますため、令和2年度は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための活動自粛等による水需要の減少から、給水収益、有収水量ともに大きく影響を受け、過去10年間で最も低い数値となりました。当町は観光地であり、住民のほかに季節変動が大きい観光施設の最大需要に対応する必要があるため、通年での施設利用率は低くなっています。決算状況を経年比較しますと、流動比率の減少が見られ、施設利用率が低いことから、給水量に対して維持管理費の負担が類似団体平均値より多く、今後も長期間にわたって健全な経営を維持していくことは難しいと予想されます。令和3年度は「アセットマネジメント計画策定業務委託」を執行しており、その業務委託の中で、施設等の維持管理や計画的な更新計画だけではなく、財政計画を含んだ実施計画を策定予定でありますので、その結果を踏まえ、健全経営の継続に努めていくものです。
老朽化の状況について
管路経年化率は類似団体平均値や全国平均より低くなっていますが、今後、更新時期を迎える管路が増加すること等が考えられるため、更新計画の精査を進めていく必要があります。管路更新率が平均より低く、近年の管路更新が十分進んでいない状況となっています。系統ごとに配水量を監視し、特異な傾向がみられる地区では漏水調査を行い、優先的に修理を行っていますが、技術職員の数も限られており、施設の老朽化に対して必要な更新が進んでおりません。現在は平成29年度に策定した「箱根町新水道ビジョン」に基づいて施設の計画的な更新や長寿命化を推進しておりますが、今後は、令和3年度策定の「アセットマネジメント計画」に基づいて進めていく予定です。
全体総括
経常収支比率が100%未満となっており、令和2年度は赤字であることを示しています。また、給水収益が大幅に減となったことで、料金回収率も例年100%を超えていたものが91%まで減となりました。前述しているとおり、新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けているため、この状況が収束に向かえば例年どおりの数値に戻ると推測しています。しかしながら、先行きは依然として不透明であるため、より計画的、効率的な事業運用に努めてまいります。管路更新率が年々減少傾向であり、近年の管路更新が十分に進んでいない状況となっていますので、技術職員の確保など、中長期にわたる更新に必要な計画を進めていく必要があります。水道料金につきましては、消費税の転嫁を除いては平成13年度以降、改定を行っていませんが、今後の需要予測とともに設備の更新計画とあわせて慎重に検討してまいります。