経営の健全性・効率性について
経常収支比率は100%を超えており、収益、その他の収入で費用を賄えている状況ではある。また、料金回収率は80%超と類似団体に比べ高い水準となり一定程度の経営改善は図られている。しかしながら、収入のうち相当程度を一般会計からの補助金に頼る構造は続いており、人口減少により有収水量も減少していく将来を見据えると採算性を目標とすることは困難である。さらには、管路更新率が低く、管路経年化率が高いにも関わらず、企業債残高給水収益比率も高い水準が続いており、過去の投資の元利償還額が費用の多くを占めている状況となっている。累積欠損金比率や流動比率は類似団体に比べ健全な数値であり、今後も当面は資金繰りに支障をきたすことはないと見込まれるが、企業経営体としての経営状況は憂慮すべき状況であり、定期的な料金改定やさらなる経費節減、適正規模での管路、機器等の更新など、経営効率の向上を図っていく必要がある。
老朽化の状況について
償却率が60%超、管路経年化率が40%超、また有収率も年々低下しており、老朽管等の適宜更新が必要な状況にある。これまでは経営戦略の一貫として、管路の長寿命化と併せ、投資を先送りしてきたが、今後は企業債残高に注視しつつ元利償還額の平準化に留意しながら、計画的な更新を行っていく。なお、機械設備等の更新に際しては、将来の給水人口を見据えながら、規模縮小など投資額の抑制を図っていきたい。
全体総括
人口減少による水需要の減少が確実と見込まれる状況において、営業損益は将来においても赤字が継続する見通しであり、短期・一時的な経営改善は見込めても、将来にわたって現状の健全性、効率性を維持していくことは非常に困難である。また、老朽管の更新は喫緊の課題であり、安全・安心な水道水の供給のためには、投資も着実に実施していく必要がある。以上のような将来の厳しい経営状況を正確に認識した上で、一般会計からの補助や定期的な料金改定による収入の確保、職員の適正配置や事務事業の効率化等による経費節減、新技術、適正規模を勘案した機器等の更新など、絶え間ない経営努力を継続して行っていく。