経営の健全性・効率性について
経常収支比率や流動比率は100%を超え収支の黒字を示し、営業で生ずる損失もなく経年の累積欠損金は発生していない。料金回収率も100%を超えるとともに全国平均や類似規模団体の平均を上回り、給水原価は類似規模団体の平均よりも低く抑えている。一般会計などからの繰り入れもなく完全な独立採算で営業を行っており、経営状況は概ね良好と判断される。しかし、有収率においては100%を下回るとともに全国平均や類似規模団体の平均をも下回っており、配水されるすべての水量が収益になっておらず、漏水などの原因が想定されるため早急な対策を行う必要がある。また、給水人口が減少し続け、数年後には5,000人を割り込むことも想定され、料金収入が減少することに加え施設の老朽化による建設改良費や企業債の増加が見込まれる。これらに対応しつつ健全経営を維持する対策を講ずる必要がある。
老朽化の状況について
法定耐用年数を経過した管路については、平成9年度竣工の公共下水道の管路布設に併せ更新を行っていることにより、管路経年化率と管路更新率は低く、さらに全国平均や類似規模団体の平均をも大きく下回っている。これらのことから管路については概ね良好な施設と判断されるも、本年度の有収率の低下原因を追究する必要がある。また、浄水施設においては更新などを行っておらず老朽化が著しいため、新たな水源の調査・浄水場や配水池の更新などの基本設計及び詳細設計を平成29年度から3ヶ年で実施する。
全体総括
今後、給水人口の減少や老朽化している浄水施設などの更新に伴い起債残高の増加が見込まれ、順調であった経営も厳しさが増すものと思われる。安全・安心な飲料水を提供し、安定した経営を行うため、未納対策を含めた財源の確保や有収率の改善による経費の削減を図る必要がある。