経営の健全性・効率性について
令和5年10月に料金を改定したことにより経常収支比率の向上となったが、給水人口については前年比97.71%であり今後も減少が予想されている。また老朽化する施設の維持更新費用、更には電気・管材料費等価格高騰によるため支出は増加する見込みであり、黒字決算の継続が必須であり、施設の統合による維持管理費等の削減対策を進めている。短期的な債務に対する支払い能力を示す流動比率は100%を上回っている。しかしながら、令和5年度末起債残高は1,951,542千円と営業収益の5倍弱であり、昨年度より改善されたものの、依然として投資規模に対し給水収益が低い状態である。100%を求められる料金回収率については、80.14%であり、給水に係る費用が給水収益で賄えていないことが示されている。給水原価は239.82円と類似団体平均値を上回り、投資の効率化や維持管理費の削減等の経営改善が必要である。有収率においても、類似団体の平均値を下回っており、改善に向けた老朽管、老朽設備の改良が喫緊の課題である。国庫補助事業等を活用した施設整備を計画的に実施している状況である。
老朽化の状況について
令和5年度末の有形固定資産減価償却率は55.00%で類似団体平均値、及び全国平均値を上回っている。当水道事業が保有する水道施設(管路・構造物・設備)は竣工当初の施設が多くを占めており、今後、財源確保の対策を講じた上で、耐用年数及び現状を踏まえた更新需要を適切に把握し、水道施設の計画的な更新が急務である。
全体総括
類似団体と比較すると、全体的な設備の老朽化に起因した有収率の値の低さ、増大する修繕費等により給水原価の高さが見受けられる状況にある。令和5年度に改訂した「上水道事業経営戦略」同年に策定した「管路耐震化計画」に基づき、水道施設の計画な更新を進め経営基盤の強化のための取り組みを一層推進するとともに、中長期的な経営の効率化を図ることが必要である。