経営の健全性・効率性について
昭和61年度の事業開始以来、34年が経過しているが、事業進捗率(面積ベース)は68%と低いため、施設利用率が類似団体平均値を下回っている。このため、平成31年4月に汚水処理区域を678haから523haい、将来の投資事業を縮小した。しかし、人口減少社会に入っていることで想定していた流入汚水量よりも少ないことに加え、過去の人口増を前提とした投資が、①収益的収支比率と⑤経費回収率が平均よりも高く、⑥汚水処理原価が平均よりも低い原因と分析している。鹿島市の下水道使用料は累進性を採用しているため、大口事業者がいる地区をPPPの一種であるデザインビルド一括発注方式を採用して、供用開始区域の効率的な拡大を図っている。加えて、過去の投資で十分活用できていない施設の部分を活用できないか、し尿共同化や汚泥処理の広域化について検討を始めている。なお、接続人口を供用開始区域内人口で割って求める水洗化率は、供用開始区域の拡大を図っているため、なかなか数字は伸びない状況にある。ただ、工事説明会において丁寧に説明しており、高齢社会の中、個人が支払う接続工事に要する費用が多額に及ぶ状況であるが、接続人口の増加は順調である。
老朽化の状況について
現在、平成28年度に策定したストックマネジメント計画に基づいて、計画的な更新事業と点検調査事業を実施している。今後は上記計画の定期的な進行状況の管理、適切な時期での計画の精査を行い、施設全体の長寿命化とリスクマネジメントを進めていく。
全体総括
本市の公共下水道事業は、雨水対策を優先して行ってきたため、汚水事業の進捗状況が遅く、浄化センターなどへの投資に見合う十分な汚水量を確保できていないことが、収益的収支比率・経費回収率・汚水処理原価・施設利用率の悪化につながっているものと分析する。経営の健全化につながる早期概成を目指し供用開始区域拡大のための工事推進と大口排水事業者の接続推進を図る。なお、令和2年度から公営企業会計に切り替える。