経営の健全性・効率性について
『経常収支比率』が上昇した要因としては、25年度に比べ単純に収益が費用を大きく上回ったことが挙げられる。会計基準の見直しに伴い、資産となりうる水道管や建物を建設するため、今までに受けた補助金をここで一気に収益として計上したことが大きな要因である(長期前受金戻入)。しかしながら、この「長期前受金戻入」を考慮しなくても、収益が費用を上回っている。『流動比率』が大きく下がった要因は、流動負債が増加したことである。これは業務上、新たに負債が発生したのではなく、会計基準の見直しに伴い、過去に建設改良事業のために借り入れた企業債でH26年度中に償還期限が到来するものが決算上計上されたためである。『企業債残高対給水収益比率』については、年々微減の傾向にある。これは給水収益がほぼ横ばいであることに対し、近年新たに企業債を借り入れていないことから、その残高が年々減少していることに伴い、比率も減少してきている。『有収率』の増加は、配水管の漏水修繕工事等を行ったことにより、効率化されたものと考えられる。
老朽化の状況について
『有形固定資産減価償却率』については、近年増加傾向にある。これは、年々増加する減価償却累計額に対し、減価償却の対象となる有形固定資産の帳簿原価が増加していないことが要因。配水管や施設の修繕工事は毎年行うものの、有形固定資産となりうる施設等の新設工事が行われていないことが挙げられる。また、近年は新たな管路更新工事も減少傾向にある。
全体総括
収益的部分については、収入の大部分を占める給水収益はほぼ横ばい傾向。会計基準の見直しに伴う収益化の発生や、新規の起債が発生していないことが変動要因としてみられる。資本的部分については、管路整備率(普及率)や施設整備がほぼ飽和状態にあり、工事も修繕が多い。このため、新たな固定資産の発生は減少傾向にある。大きな増収や新設工事が新たに発生する見込みがない状況のもと、収支の効率化を図りながら不要な資産の除却を進めていくことが今後の課題。