経営の健全性・効率性について
令和元年度から地方公営企業法の適用を受ける事業に移行したことにより、前年度までとの比較ができない。①令和元年10月からの使用料改定により使用料収入は増加したが、一方で経費も増加したことから、一般会計からの繰入を行ったものの、経常収支比率は100%を下回る結果となった。②使用料改定に伴い、一般会計からの繰入金を抑制したことにより欠損金が発生した。持続可能な安定的且つ健全な経営を図るため、繰入金を含めた収支構造の改善を図る必要がある。③現預金が少ない一方で、多額の企業債残高を抱えている状態である。今後約10年で償還のピークを迎えるため、暫くは現在の水準を推移すると見込んでいる。④企業債残高対事業規模比率は、下水道建設当初から多額の借入れを行ってきたことから類似団体平均や全国平均を大幅に上回っている。これに伴い⑥の汚水処理原価も同様に平均を上回っている。なお、現在企業債償還のピークを迎えているため、この先10年後以降は企業債残高は減少していく見込みである。⑤経費回収率は、77.91%と類似団体平均や全国平均を下回っている。令和元年10月から使用料改定を行ったが、改定後の使用料単価でも経費を使用料収入で賄えていない状況である。今後は経費削減に努めるなど収支改善を図っていきたいと考える。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、令和元年度から企業会計を導入し資産整理を行った結果、資産の耐用年数50年に対し、取得から既に30年以上を経過しているものが存在する。今後は保有資産の老朽化に伴い、当該資産の長寿命化や更新など効率的・効果的な方策を分析し、今後発生する更新・改築費用を削減(抑制)していく。
全体総括
令和元年度の経費回収率が77.91%と汚水処理費用を使用料収入で賄えていない赤字経営の状況にあり、その収支不足を一般会計からの繰入金で補てんする状況が続いている。本町は、下水道施設の整備を短期間で行ってきたことから、企業債残高が多額となっている。企業債の償還は今後約10年でピークを迎え、多額の新規借入がなければ令和11年度頃から単年度償還額は減少傾向へ転じ、企業債残高についても減少していく見込みである。今後は、残りの面整備地区に係る事業費並びに維持管理及び管渠等の施設の更新に伴う投資が増加すると考えられる。令和元年度から地方公営企業法を適用し経営状況がより明確に把握できるようになったことから、公費負担と受益者負担の適正化を定期的に見直し、安定経営を維持していく。