経営の健全性・効率性について
①平成28年度に経常収支比率が100%を上回り、黒字経営が続いている。令和元年度は収益が1.58ポイントの増加に対し費用で減価償却費等の減により4.92ポイント減となったため、対前年度比で7.08ポイント増加し、類似団体の平均を上回った。今後も引き続き健全経営に努めたい。②赤字経営が続いていたため累積欠損金が発生していたが、平成28年度以降は黒字経営となり、平成30年度で欠損金が解消された。令和元年度についても発生していない。③100%を下回っているが、これは赤字経営が続いていたことや多額の設備投資の支出による1年以内償還予定企業債や工事代金の未払金残高が高い水準であるためこの様な状況となっている。平成29年7月使用分からの使用料改定により、平成30年度以降は、経営の改善が図られている。④平成30年度の比率の増加については、管渠・雨水排水ポンプ場の整備事業費が増加したことによるものである。令和元年度は上記事業が順次完了してきたため、数値は改善している。今後も計画的に企業債の借り入れを行いたい。⑤平成28年度までは、必要な経費を使用料により賄えていない状況で、類似団体の平均値に比べいずれの年度も低い水準にあったが、平成29年7月使用分からの使用料改定により100%を上回り、令和元年度についても100%を上回っている。⑥類似団体の平均値に比べいずれの年度も低い数値となっている。これは、施設利用率が類似団体の平均値に比べて高く、施設の効率的な稼働に努めているためと考えられる。引き続き施設の効率化を図りたい。⑦類似団体の平均値に比べいずれの年度も高い水準となっており、施設の効率性は良いと言える。これは、水洗化率が類似団体の平均値に比べて高いためと考えられる。⑧類似団体の平均値を上回る水準となっている。これは、市街地の生活環境の改善を図るため、早期の段階(昭和34年)から下水道事業に取り組み、面的整備を進め、水洗化率向上のための啓発等の取組を実施してきたことによると考えられる。100%を目標とし、引き続き水洗化率の向上に努める必要がある。平成24年度の法適用、平成26年度の会計制度の見直しにより、経営状況の実態がより明らかになった中で、人口減少時代に見合った使用料水準の見直しを含めた経営改善に取組んだ。その結果、経営状況は改善している。
老朽化の状況について
①建設改良事業費は増加しているものの施設の大部分が未供用の状態であり、年々数値は増加している。しかしながら、数値は100%を大きく下回っているため、施設全体の老朽化度合は低いと言える。これは、施設の更新を適正に行ってきたことによるものである。②平成27年度以降、事業開始から一定の期間が経過したことで耐用年数を迎える管渠が増加しており、今後も耐用年数を経過した資産の増加が予想される。③耐用年数を経過した影響度の高い主要な管渠については、健全度の低いものから改築更新を行っている。今後は、対象となる管渠が増加していくことから、「ストックマネジメント計画」を策定し、優先順位や緊急性を見定めながら、計画的に改築更新を実施する必要があり、そのための投資についても増加すると考えられる。また、陥没事故等を防止するため、予防保全型の維持管理が必要となる。以上のことから、今後は管渠についても更新等の老朽化への対策を強化していく必要がある。
全体総括
本市の公共下水道事業については、平成24年度の地方公営企業法の適用以降赤字経営が続いていたが、災害復旧事業が完了したことによる費用の減少や平成29年7月使用分からの使用料改定などにより黒字経営となり、平成30年度において累積欠損金が解消された。流動比率は100%を下回っているものの、平成30年度においては改善しており、今後も更に経営の改善に努める必要がある。今後は、管渠等施設の更新等への投資が増加していくとともに、人口減少や節水気運の高まりにより使用料収入の減少も懸念される中で、経営はより一層厳しさを増すため、より有利な財源を活用した施設の更新等を適正に実施できるよう経営改善を図る必要がある。また、令和4年度より下豊西部地区、令和6年度より行積長尾地区を公共下水道に施設統合する予定であり、さらなる事業効率の向上を図る。