経営の健全性・効率性について
水洗化率については、普及促進活動により過去5年間では微増している傾向にあるものの、類似団体平均値及び全国平均値を大幅に下回っている。このため、使用料収入が少なく、一般会計からの繰入金に依存する比率が高い経営となっている。さらに、施設建設等の投資に係る起債償還も多いことから収益的収支比率及び経費回収率は100%を下回っている。また、汚水処理原価は、類似団体平均値及び全国平均値より高額であり、施設利用率は類似団体平均値や全国平均値を下回っている。この状況を改善するため、更なる普及促進に努め水洗化率の向上を図り、使用料収入を確保するとともに、効率的な維持管理を行い、コスト削減に努めていく必要がある。企業債残高対事業規模比率については、類似団体平均値、全国平均値ともに下回っている。今後も企業債残高が減少する見込みであることから減少傾向になると思われる。
老朽化の状況について
本市の下水道事業は、平成6年度から建設を開始し、平成11年度末に供用開始した比較的新しい事業であるため、老朽化対策は行っておらず、既存下水道施設の修繕等を実施しながら長寿命化を図ってきた。今後は、平成30年3月に策定した「旭市公共下水道ストックマネジメント計画」に基づき、中長期的な下水道施設の状況予測を図りながら、下水道施設の改築、更新等を進めていき、将来訪れる施設の老朽化に備えていく。
全体総括
収益的収支比率や経費回収率は100%を下回っており、また、類似団体等と比較して汚水処理原価は高く、施設利用率は低い状態で推移しており、水洗化率を見ても経営の健全性や効率性は低水準となっている。供用開始区域内の人口が減少するなど、経営環境が厳しさを増す中、安定した下水道事業が持続できるよう、ストックマネジメント計画に基づく計画的かつ効率的な施設管理、公営企業会計による経営の健全性や透明性の向上、経営戦略の見直しなどにより経営基盤強化に努めていく。本市では、令和2年4月に公営企業会計へ移行。