経営の健全性・効率性について
①経常収支比率、⑤経費回収率、⑥汚水処理原価経常収支比率は100%を超えているが、経費回収率は100%を下回っていることから、一般会計からの赤字補填の繰入金で経営を維持している現状である。経費回収率は、67%程度であり類似団体平均の95%に比して大きく下回っているため、令和2年11月に平均改定率29%増の使用料改定を行った。これにより、経費回収率は82%程度まで改善する見込みである。汚水処理原価は、分流式下水道に要する繰出金等により、今後も150円/m3で高止まりすることが推測される。②累積欠損金比率累積欠損金は発生していないため、0%である。③流動比率流動比率は86%であり、資金繰りが十分確保されているとはいえない。R元年度に地方公営企業会計へ移行した際、引継現金が少なかったことも影響しているが、今後は維持管理費の削減に努め純利益を十分に確保し資金の増加を図る必要がある。④企業債残高対事業規模比率汚泥焼却施設建設のために借入れた企業債の償還が完了する令和7年度までは、資金繰りが非常に厳しい状態が続く。新規借入れの抑制により、令和8年度には450%程度まで改善すると推測している。⑦施設利用率晴天日最大処理能力21,000m3に対して70%の施設利用率となっている。なお、令和2年度における晴天日最大処理水量は23,566m3を記録しており、日によって処理能力の112%の施設利用率の時がある。⑧水洗化率水洗化率は95%を超え、類似団体及び全国平均ともに上回っており高い数値となっている。今後も100%を目指し、接続への普及活動を継続していく。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率全国平均、類似団体平均を大きく上回っている。これは、令和元年度から地方公営企業法を適用した際、資産の老朽化度合いを適切に把握するため、資産取得時の取得価額を貸借対照表に計上するとともに、資産取得時から減価償却が行われてきたものとして算定した減価償却累計額を計上する取り扱いにしたためである。昭和28年から管渠の建設が始まり、処理場については、昭和55年の供用開始から40年が経過しているため、有形固定資産減価償却率は高い傾向にある。②管渠老朽化率下水道管渠延長214kmに対して、法定耐用年数を超えた管渠は約42km(19%)ある。10年後には37%、20年後には51%まで急速に増加する見込みであり、ストックマネジメント計画に基づき、計画的かつ効率的な管理を進めている。③管渠改善率類似団体及び全国平均ともに下回っているが、ストックマネジメント計画に基づき計画的に管渠の更新工事を実施していくR5~改築工事が本格化されるため、R5年度には、0.15%程度まで上昇する見込みである。、毎年0.329㎞/全体延長214㎞=0.15%まで上昇
全体総括
下水道事業の経営の健全化のためには、使用料の見直しによる財源確保とストックマネジメント計画に基づく投資の最適化、維持管理の効率化による汚水処理原価の削減等、不断の努力が必要である。また、これらの取組状況や経営の実態等を広く住民にも情報発信し相互理解を図ることが重要である。