経営の健全性・効率性について
①経常収支比率、⑤経費回収率経常収支比率は100%を超えているものの、経費回収率は100%を大きく下回り、全国平均、類似団体の平均と比較し20%以上低い。これは本市の使用料単価が低いことなどが要因である。今後は汚水処理費の削減に努めるとともに、水洗化率の向上や適正な使用料体系の検討を行う。②累積欠損金比率累積欠損金は発生していないため、0%である。③流動比率100%を大きく下回り、全国平均、類似団体の平均の半分以下の値である。これは企業債償還金が多いことや現金が少ないことが要因である。経営基盤の安定化に向け、借入と償還バランスを考慮した資金調達を行い、適正な使用料体系の検討を行う。④企業債残高対事業規模比率全国平均、類似団体の平均を大きく上回っている。本市は、平成8年から約10年間で集中的に下水道を整備しており、この時期に多額の借入をしたことが要因である。今後これらの償還が終了していくため比率は減少していく見込みである。⑥汚水処理原価150円を超える部分は、分流式下水道に要する経費として一般会計から繰入れている。分流式下水道に要する経費を控除する前の原価は172.76円で類似団体平均値よりも高くなっている。これは汚水資本費が高いことが要因である。今後は、汚水資本費が減少傾向であるため原価の減少が見込まれるが、引き続き汚水処理費の削減に努める。⑧水洗化率全国平均、類似団体の平均値を下回っている。普及促進活動を実施しているが、下水道接続には費用がかかることや、浄化槽を利用していること等が未接続の要因となっている。経営健全化を図るためにも、普及促進活動を強化し、水洗化率の向上に努める。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率全国平均、類似団体の平均を下回っているが、これは平成31年度に公営企業会計に移行した際、平成30年度までの償却累計額相当部分を資産価値から差し引き、新たに資産を取得したものとみなして帳簿価格を決定したためである。実際は耐用年数を超過した施設も多くあるため、計画的に修繕、改築を進めていく。②管渠老朽化率、③管渠改善率管渠老朽化率は全国平均、類似団体の平均を大きく上回っている。これは、本市の下水道事業が全国的にも早期である昭和25年に事業開始しているからである。管渠の更新・改良は令和2年度は実施していない。現在は平成30年度に策定した「行田市下水道ストックマネジメント計画」に基づき、マンホールの点検・調査を進めており、今後この調査結果に応じて管渠更新を進めていく。
全体総括
経営の健全性・効率性について、多くの指標で全国平均、類似団体の平均を下回っており、非常に厳しい経営状況である。今後は、令和2年度策定した「経営戦略」に基づき、経営基盤の強化と財政マネジメントの向上が求められる。特に、経費回収率が100%を大きく下回っていることから、経営の効率化や不明水対策による経費の削減、適正な使用料体系の検証が必要である。老朽化の状況については、減価償却率は低いものの、耐用年数を超えた施設が多くみられる。このため、施設の計画的な維持管理及び、修繕・改築の推進が必要である。