経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、121.63%と100%を超え、②累積欠損金比率は0%であり経営の健全化は保たれているが、⑤料金回収率は97.1%と100%を下回っており、給水に係る費用が給水収益以外の収入で賄われている。給水収益と一般会計からの繰入金等の総収益により黒字となっている。これらの要因は、山間地が多い地理的要因によりポンプ場や配水池が多く整備され、給水に要する経費が掛かるため、⑥給水原価も302.04円と類似団体と比較して高く推移している。③流動比率は、344.07%と当該指標100%を上回っており、当面の支払いや資金繰りに問題はなく支払能力は確保されている。④企業債残高対給水収益比率は、173.1%で、平成初期の拡張事業時の企業債償還はピークを過ぎ、また、ここ数年の更新費用は自己資金により賄ってきたため、企業債残高は減少している。⑦施設利用率は、52.46%と類似団体と同水準となっているが、配水量は減少しており、配水能力に対する割合は、今後50%前後と見込まれ、給水人口の減少等を踏まえて、管路敷設効率性を検証の上ポンプ場等の統廃合を検討している。⑧有収率は、78.28%で、漏水調査事業に取組み、漏水防止の強化により有収率も着実に向上しており、早期発見による無効水量の減少に努め、震災前の有収率80%に近づきつつある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、46.05%と類似団体と同水準となっているが、固定資産の老朽化は徐々に進み、これから本格的な更新時期を迎える。②管路経年化率は、18.27%と類似団体より大きく上回る一方で、③管路更新率が0.18%と下回っていることから、法定耐用年数を経過した管路に対する更新が進んでいない状況である。その要因は、修繕や補修による延命化を講じることにより更新時期を延長している。
全体総括
経営状況については、①経常収支比率⑤料金回収率は右肩上がりで伸びており、健全化は保たれているが、これからは、給水人口の減少や節水機器の普及により料金収入の減少が見込まれる反面、施設の老朽化による維持管理費や施設更新費用が年々増加することが見込まれており、財源確保が今後の経営課題となっている。これらに対応するため、民間の資金や経営能力、技術力を活用することにより、コスト削減に向けた新たな手法を検討するため、コンセッション等官民連携の導入可能性調査を開始した。