経営の健全性・効率性について
今後、人口減少社会を迎えて、使用水量が減り、更に節水意識の高まりで、給水収益は減少をたどる。また、施設は老朽化して更新維持していくための費用が増加する。数年にわたる赤字決算のために当事業は多大な累積欠損金を抱えている。この累積欠損金を解消するには、毎年黒字決算になることが必要である。そのためには、給水収益の増加が必要で人口減少社会に対応した水道料金体系が必要である。また、当事業は、短期的な債務に対する支払能力が類似団体平均値を大きく下回る。平成26年度末の企業債残高は956,988千円で、給水収益の6.3倍である。これは、類似団体平均値4.95倍を上回るもので、投資規模に対して給水収益が低いと考えられる。また、料金回収率は100%以上が求められるが、当事業は81.44%である。給水に係る費用が給水収益で賄えていないことが示されている。給水原価は216.53円で類似団体平均値よりも高く、投資の効率化や維持管理費の削減などの経営改善が必要である。有収率は平均値よりも、大きく下回っている。老朽管の建設改良により有収率を上げる努力をする必要がある。
老朽化の状況について
平成26年度末で減価償却率は47.47%で類似団体平均値に近い値であるが、管路だけでなく施設設備も更新の時期を迎えている。上水道地域の管路の延長の20.57%が布設後40年以上経過しており、高度経済成長期に布設した管路の大量更新の時期に入っている。上水道地域の管路の更新率は、ここ数年の平均値は1%で全て更新するには100年かかる計算になるため、管路の更新をスピードアップして取り組む必要がある。
全体総括
全体的に設備の老朽化により、有収率の低下を招いている。資金不足を解消し、老朽施設及び管路の建設改良を行っていくことが必要である。そのためには収益の増加が必要で、料金体系、料金水準の見直しの検討が必要である。