経営の健全性・効率性について
過去5年間において①経常収支比率は100%以上で推移しているが、人口減少に伴い水需要が低下し、有収水量は約6,600㎥の減、給水収益は約4,650,000円の減となっており、今後の景気動向や社会情勢が大きく好転しないかぎりは経常収益の減少が懸念される。また、企業債は平成33年をピークに増加し続ける為、④企業債残高対給水収益比率も減少傾向にあり、施設老朽化に伴う修繕費の増加、電気料金の増加による営業費用も増加傾向にあり、③流動比率の動向によっては早期経営改善への準備をしておかなければならない。③料金回収率は⑥給水原価が安価であることもあり、良好に推移しているが、長期的にはダム水による供給計画により変動するものと推測される。施設利用率は類似団体に比較すると高く、現状施設は適切な規模と判断するが、計画中の大規模施設建設計画には、今後の一日平均給水量を的確に推計し、必要であれば施設規模の再検討等も必要である。⑧有収率は平成24年度を除き80%程度で推移しているが、低下の要因である漏水事故を防止し、更に向上するよう適切な対策を図る。【参考】〈有収水量(㎥)〉〈給水収益(千円)〉H22:946,938135,763H23:936,023133,470H24:912,824132,554H25:905,596132,868H26:880,512134,854(消費税8%)
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却比率は類似団体と比較すると低い比率で推移してきたが、法改正により平成26年度に50%程度まで上昇している。また、②管路経年比率については大部分の管路は下水道事業に併せ更新を行ってきたが、事業開始から40年を経過する今年度以降上昇することは確実である。また、河川渡河などの大規模な管路更新を控えており、更新費用は増加することとなっている。
全体総括
現在の施設大規模更新計画と今後策定予定の管路耐震化計画を実行する必要がある中で、水需要の低下に伴う給水収益の減少が予測される。また、動力費などの経費が増加する中で人件費の削減などで営業費用を抑え、低廉な水道料金を過去20年以上維持してきているが、現在ダム水の供給計画もあり、今後、累積収支の均衡が図れない状況に陥ることが予測される。水道事業を取り巻く環境や社会情勢が好転することは困難であるため、持続可能な事業運営を確保するため、早期に料金改を行う必要がある。