経営の健全性・効率性について
【はじめに】潮来市では、当年度より地方公営企業法の財務規定を適用し事業を運営している。このため、左記に掲げる各指標については、前年度との比較が困難な状況にある。そのうえで下記のとおり分析するものである。【経常収支比率】100%を上回り類似団体平均値とほぼ同じ水準となっている。一方で、汚水処理に要する経費を下水道使用料収入だけでは賄いきれず、不足分を一般会計からの繰入金で補填している状況にある。【企業債残高対事業規模比率】類似団体と比べ低い値となっているが、企業債残高のうち一般会計からの繰入金で多くを補填しているためである。【経費回収率】平均値を超えているものの100%に達していない状況である。使用料等の収入確保及び汚水処理費の削減等に取り組む必要がある。【汚水処理原価】類似団体平均値と比較して高い水準にあるため、維持管理費の削減及び接続率を向上させる取り組みが求められる。【水洗化率】類似団体平均値と同水準となっている。引き続き、水質保全をはじめ使用料収入の増加を図ることを目的に水洗化率を向上させる取り組みの強化が求められる。
老朽化の状況について
当市の下水道施設は、昭和52年の供用開始から約44年を経過している。とりわけ管渠施設の法定耐用年数(50年)を控えていることから、適切な維持管理を進めるうえで改築及び修繕等の具体的な計画等を検討する必要がある。令和2年度にストックマネジメント計画を策定したことから、今後は本計画に基づき、施設内点検調査等をおこない、計画的に改築・更新を進めていく。【有形固定資産減価償却率】公営企業会計へ移行して初年度であることから、減価償却累計額が少ないため、類似団体平均値を下回る状況にある。
全体総括
経営の健全化等にあたっては、引き続き、下水道使用料の増収を目的に水洗化率向上の取り組みを強化し、一般会計からの繰入金の抑制に努める必要がある。加えて、汚水処理に要する経費の削減等の分析・検討を進め、経費回収率や汚水処理原価の向上につなげる必要がある。老朽化の課題に関しては、ストックマネジメント計画に基づき改築・更新をおこなうとともに、年度間の建設改良費の平準化を図る。公営企業会計に移行して初年度の決算を終えたことから、現在(令和3年度)、経営戦略の見直し作業を進めている。山積する課題を整理するとともに、事業の効率化と経営の健全化を目指すものである。