経営の健全性・効率性について
本町の水道事業は、平成元年3月31日に旧種市町の5つの簡易水道事業を統合し上水道事業を行っている。また、災害時の給水に備えて町内には1つの水道施設を稼働させているほか、水源の多くを現青森県八戸市南郷地区に建設された世増ダムに求め、八戸圏域水道企業団との共同事業により整備した水道施設により取水から送水までの効率化を図り、町内の水道施設の配水池等を活用して配水することにより安定供給を図っている。しかし、町の給水区域の多くは、人口密度が低く、管路に対する給水管の接続件数の割合が低く、減価償却費や経常費用の割合が高い水準であるため高資本状態になり給水原価が類似団体と比較して高い額となっている。また、このような状況に対し、水道事業経営に不足する費用については、一般会計から高料金対策費補助金の交付を受けており、その財源の一部は、国からの地方交付税が充てられている。総配水量に占める有収水量の割合を示す有収率においては、管路の破損等により漏水した水量が多いため平均値を下回る状況となっている。このことに対し、平成26年度に漏水調査業務委託を実施し、前年に対し2.27%改善した。
老朽化の状況について
本町の水道事業においては、水道施設の多くが、平成元年から平成22年度に建設されたものであり、管路経年化率は、平均値と比較して低い。しかし、町内の水道施設のなかには、建設後55年が経過しているものがあるほか、機械設備等は、耐用年数が短く、更新時期に差し掛かっているものがある。
全体総括
本町の水道事業は、集中した期間で整備したため減価償却が集中する期間があり、また、人口密度が低いことから管路等に対する減価償却費や経常費用が高い水準であり、給水原価に水道料金が見合っていない状況がある。一方、平成22年度までに多くの水道施設の更新を終えているため管路の老朽化の度合いは、平均値と比較して低い数値となっている。水道事業の財源となるべき水道料金は、県内においても上位にあることから、料金の引き上げ改定には困難があり、経費の縮減に努めながら一般会計の財政支援を受けて水道事業を経営している。