経営の健全性・効率性について
本町の経常収支比率は89.39%と前年の117.22%を大きく下回り、単年度収支が赤字となった。また、累積欠損金比率も基準となる0%から28.18%と大きく前年、及び全国平均(累積欠損金比率:0.87%)、類似団体平均値(累積欠損金比率:12.59%)のいずれも上回り、経営状況の悪化を如実に示す結果となった。これは平成27年4月に簡易水道事業と会計統合を行ったことが要因と言える。統合した簡易水道事業は、本町の地理的特性でもある中山間地域の水道事業を担っていたということから施設が点在していることや、少子高齢化による人口減少に伴う給水人口の減少などにより経常収支比率(H26年度:72.06%)も低く、健全経営を行えていなかった。その簡易水道事業と統合したことによって、前年まで健全な状況であった上水道事業の経営が健全状況でなくなったと言える。また、改善傾向にあった企業債残高対給水収益比率(1,391.67%)についても、簡易水道事業が平成17年度から平成21年度に渡って行った村づくり交付金営農飲雑用水施設整備事業で発行した多額の企業債残債等の影響により、全国平均(276.38%)や類似団体平均値(487.22%)からも前年以上に大きく上回る結果となった。今後は水道施設耐震計画(H28年度策定)等各種計画に基づき、計画的な施設の更新を行うとともに、水需要の動向によって施設規模の見直しを含めた効率的な事業運営による一層の経費削減を図る必要がある。
老朽化の状況について
資産の老朽化度合いを示す有形固定資産減価償却率は41.89%で、全国平均(47.18%)及び類似団体平均値(47.44%)を下回っている。今後は水道施設や管路の経年化による老朽資産の増加が見込まれることから、水道施設耐震計画に基づき優先順位や工法、また財源面を考慮し適切な維持管理や更新に取り組む必要がある。
全体総括
上水道事業における本町の経営状況は、簡易水道事業と統合したことによって単年度収支が赤字となったため、黒字化に向け経営改善策に努める必要がある。しかしながら、今後少子高齢化による給水人口の減少や、節水意識の高まりによる一層の給水収益の減少は否めない。また、一方では老朽化による施設の更新が増加していくことから、経営状況を改善することは非常に厳しいと考えられる。以上のことを踏まえたうえで、今後は厳しい状況下のもと水道施設耐震計画などにより、中長期的な展望による経営改善に努める必要がある。