経営の健全性・効率性について
①②経常収支比率は、100%を下回っているが、令和3年度は例年より経常収支比率が100%へ近づいている。営業収益は減少したものの、営業費用、営業外費用の減少と営業外収益が増加したことが要因であり、特別利益を加えた決算値では、2年続けての黒字となった。欠損金は減少したものの、未だに平均値を大きく超える比率であることから累積欠損金の解消を早期に検討する必要がある。③流動比率は、流動資産の減少及び流動負債の増加のため、令和3年度も微減となった。100%を下回らなければ短期的な支払能力を有しているとされているが、会計移行後、減少が続いており、平均値を大きく下回っていることから、今後、適正な供給単価の設定が必要であると考えられる。④企業債残高対給水収益比率は、起債の償還ピークを迎え減少傾向であるが、令和3年度も前年度に引き続き借入を行っており、給水収益は前年度から減少していることから、今後、企業債残高の増加が懸念される。⑤⑥料金回収率は前年度から0.74ポイント上昇し、類似団体を上回っているが、これは更に経常費用削減等を行い、給水原価が微減したためである。⑦施設利用率は、88.63%と変わらず高水準となっており、現状、適切な施設規模であると言える。⑧有収率は71.33%と類似団体平均と比べて未だ低く、漏水個所を特定し維持管理を行っていく必要がある。
老朽化の状況について
上水道事業として開始してからの年数が5年と短いため、不明資産を除くと減価償却率は類似団体と比べ大きく下回っており、管路経年化率は現在のところ発生していない。今後の老朽化に対する更新事業に備えるため、経営改善を図る必要があると同時に更新費用を平準化するための計画を策定し、後年、適切な時期に必要な投資を行っていく必要がある。
全体総括
会計移行後の5年間で経常収支は毎年赤字であり、累積欠損金解消までの見通しが無い状況である。欠損金の解消と安定した営業収益を確保する経営改善を図る必要があると考えられる。施設や設備、管路の更新計画が無く更新に対する財源が企業債の借入のみとなってしまうと償還利息の返済等と相まって流動資産の減少ペースが加速する恐れがある。施設・管路更新に向けて計画を早急に立て、今後の投資を見通せるようにすること、それらに対しての自己財源を確保できるような経営改善は早期検討課題である。