1.資産・負債の状況
一般会計等については、資産総額が期首時点から97百万円の減少となった。固定資産は、文化会館空調設備更新工事等による資産増加があったものの、資産増加額が減価償却額を下回ったことから期首より203百万円減少した。資産総額のうち有形固定資産の割合は85%となっており、これらの資産は将来維持管理や更新等の支出を伴うものであることから、施設の集約化・複合化を進め、公共施設等の適正管理に努める。負債で大半を占めているのは、地方交付税の不足を補うために特例的に発行している臨時財政対策債等の地方債と退職手当引当金である。特別会計を加えた全体について、資産総額は国民健康保険特別会計と介護保険特別会計の基金残高や現金預金等が含まれることから、一般会計等に比べて368百万円増加したが、負債総額も特別会計担当職員に係る退職手当引当金等を計上したことなどから73百万円増加した。秩父広域市町村圏組合等5団体を加えた連結の資産は、公有用地・消防関連施設・斎場ゴミ処理施設等に係る資産を計上したことなどから、一般会計等に比べて10,614百万円増加した。また、負債総額は、借入金などの増加により、一般会計等のおよそ2倍となる8,631百万円となった。
2.行政コストの状況
一般会計等においては、経常費用は3,832百万円であった。そのうち、人件費等の業務費用は2,157百万円、補助金や社会保障給付等の移転費用は1,676百万円であり、業務費用の方が移転費用よりも多い。業務費用の中で最も金額が大きいのは、物件費等(1,497百万円)であり、うち施設等の維持補修費や減価償却費などにかかるコストが約40.5%を占めている。また、移転費用の中で最も金額が大きいのは、補助金等(1,186百万円)であり、純行政コストの31.8%を占めている。今後も高齢者の増加による社会保障費の増加や公共施設の老朽化に伴う維持補修費の増加が懸念されるが、各事業の見直しを密に行い、住民サービスを充実させつつ経費の縮減に努めたい。全体では、国民健康保険や介護保険の負担金を補助金等に計上しているため、一般会計等と比較して移転費用が2,091百万円増加し、純行政コストは2,219百万円増加している。連結では、一般会計等に比べて、経常収益が358百万円の増加し、経常費用が3,231百万円増加した。埼玉県後期高齢医療広域連合の純行政コストが1,003百万円となったことが主な要因として考えられる。
3.純資産変動の状況
一般会計等においては、税収等の財源(3,626百万円)が純行政コスト(3,722百万円)を96百万円下回っており、純資産残高は11,018百万円となった。地方税の徴収業務の強化を行うことで税収等の増加に努める。全体では、国民健康保険特別会計の国民健康保険税、介護保険特別会計の介護保険料が税収等に含まれることから、一般会計と比べて税収等が1,442百万円増加し、純資産残高は11,313百万円となった。連結では、一般会計等と比べ財源が3,499百万円の増となったため、本年度差額は627百万円増加し、純資産残高は17,463百万円となった。本年度差額が増加した主な要因は、秩父広域市町村圏組合の本年度差額が130百万円となったことが考えられる。
4.資金収支の状況
一般会計等においては、業務活動収支は362百万円であり、投資活動収支については、道路改良事業等を行ったことから、▲285百万円となった。財務活動収支については、地方債の償還額が地方債発行収入を上回ったことから、▲13百万円となった。全体では、国民健康保険税や介護保険料が税収等収入に含まれることから、業務活動収支は一般会計等より12百万円少ない350百万円となっている。また、投資活動収支は、一般会計等と比較して▲30百万円となっており、本年度末資金残高は前年度から164百万円増加し、310百万円となった。連結では、業務活動収支は一般会計等と比べ864百万円の増加となり1,226百万円となった。増加の主な要因は、移転費用のうち補助金等支出と社会保障給付支出の合計額が一般会計等の約2.73倍になっていることが考えられる。本年度末資金残高は前年度から1,420百万円増加し、1,566百万円となった。
1.資産の状況
住民一人当たり資産額については、類似団体平均値を下回っている。この要因の一つに、道路・河川等敷地のうち昭和59年度以前に取得したもの及び昭和60年度以後に取得した取得原価が不明なものについて、備忘価額1円で評価しているものが有形固定資産の数の大半を占めていることが考えられる。有形固定資産原価償却率については、類似団体平均値をやや下回ってはいるが、町が保有する施設の多くが昭和50年代に整備されており、今後その多くが建替えの時期を迎えることとなる。将来の公共施設等の修繕や更新等に係る財政負担を軽減するため、公共施設等総合管理計画に基づき公共施設の集約化・複合化等を進め、施設保有量の適正化に努める。
2.資産と負債の比率
純資産比率は類似団体値をやや下回る結果となった。純行政コストが税収等の財源を上回り、純資産が前年度末と比較して約1%減少している。純資産の減少は将来世代の利用可能な資源を過去及び現代人が消費し、便益を享受したことを意味するため、行政コストの削減に努める。将来世代負担比率は類似団体平均値を大きく下回っているが、今後多くの公共施設の改修・更新時期を迎えるため、地方債残高の増加が懸念される。基金の活用を視野に入れ、地方債の借入の抑制を行うなど、引続き将来世代の負担減少に努める。
3.行政コストの状況
住民一人当たり行政コストは、類似団体平均値を下回ってはいるが、埼玉県内の町村23団体中18位となっている。今後は、高齢化による社会保障給付や施設の維持補修費等の増加が予想されるため、事業の見直しや計画的な財政運営を行い、行政コストの抑制に努める。
4.負債の状況
住民一人当たりの負債額は、類似団体平均値を下回っている。負債の約76.6%を占める地方債残高は、償還額が発行額を上回ったため、前年度と比較して1,254万円減少している。なお、臨時財政対策債については、平成13年度から発行し続けており、残高が2,281百万円(地方債残高の約66.8%)となっているが、年々減少傾向にある。新規に発行する地方債の抑制等を行い、今後も地方債残高の縮小に努める。基礎的財政収支は、業務活動収支の黒字分が投資活動収支の赤字分を上回ったため、113百万円となっており、類似団体平均値とほぼ同額である。投資活動収支が赤字となっている主な要因は、町文化会館空調設備更新工事(約113百万円)や町道改良工事などの必要な整備を行ったためである。
5.受益者負担の状況
受益者負担比率は類似団体平均値を大きく下回っている。類似団体平均まで受益者負担比率を引き上げるためには、仮に経常収益を一定とする場合は、1,999百万円経常費用を削減する必要があり、経常費用を一定とする場合は、120百万円経常収益を増加させる必要がある。公共施設等の使用料の見直しや、施設利用回数を上げるための取組を行うなど、受益者負担の適正化に努める。また、今後は公共施設等の劣化が進み、維持補修費の増加が見込まれることから、皆野町公共施設等総合管理計画に基づき、老朽化した施設の集約化・複合化や長寿命化を行うことにより、経常費用の削減に努める。