経営の健全性・効率性について
①②飯豊町では収益収入の約9割が給水収益で賄われており、総収支比率については100%を上回る126.0%であり、累積欠損金も発生していないため、全国平均値や類似団体と比較しても健全な経営状況にあるといえる。③全国平均値や類似団体平均値と比較しても大幅に高い比率を示しており、短期間での財政能力や支払能力は維持されていると言える。④類似団体平均値と比較すると大幅に低い比率ではあるが、全国平均値と同程度を示しており、水道施設や配水管などを整備するにあたり企業債に依存度せず、自己資金で調達してきたことを意味している。⑤⑥全国平均値や類似団体平均値を超えており、100%を上回っていることから、経営に必要な経費を料金で賄うことができている状況である。また、一ヶ月20㎥当たりの家庭用料金は4,320円と、県内中位の位置となっている。これは、大規模修繕等の多額投資を行わず施設維持管理費に重点を置き運営してきたことが表れている。⑦季節的変動もそれほど少なく、配水能力に対して一日平均配水量が7割を超えているため、施設利用率は望ましい数値と言える。⑧上記比率は高く評価できるものの、有収率は全国平均値や類似団体平均値と比較しても低い数値となっている。これまでも漏水調査や管路の耐震化を図ってきたが、今後も引き続き漏水管の特定を喫緊の課題とし計画的更新を行いながら有収率向上に努めていきたい。
老朽化の状況について
飯豊町の水道施設は、昭和42年に各地区の簡易水道を統合し現在の上水道に至っており、中津川地区については、簡易水道が昭和39年及び昭和46年に創設され現在に至っている。途中、普及率の増加に伴い給水人口が増え、第一次から第四次拡張事業を経て、特に第三次拡張事業では地下水源の導入、第四次拡張事業では、萩生水源を導入するなど数々の水道施設整備を実施してきた。このような中で、飯豊町では、法定耐用年数を経過した管路を全国平均値や類似団体平均値よりもはるかに多く保有している状況にあり、浄水及び配水施設などの主要な基幹施設においても経年劣化が進んでおり、今後、計画的に大規模な更新を実施していく必要がある。
全体総括
飯豊町においては、施設の効率性、収益性、財務の安全性については、概ね良好と判断しているが、年々給水人口が減少している影響から水道料金収入が減収する中で、依然として水道施設等の維持管理の固定費用は免れず、上水道と簡易水道を同一料金としている影響から、簡易水道が上水道経営を圧迫しているため、今後は厳しい財政状況が予想される。また、平成26年度に策定した「水道ビジョン」に基づいて、今後10ヶ年において、新水源開発、施設の危機管理対策や老朽化対策、耐震化など大規模な整備を計画していることから、建設改良積立金を有効に活用し、適正な料金体系を検証するとともに他会計からの支援計画を確立しながら、経営の安定化を図っていきたい。