経営の健全性・効率性について
累積欠損金はありませんが、経常収支比率が平成27年度において100%を下回りました。要因としてはホタテ漁業の水揚量減少により水産加工業での給水収益が減少したことにより平成27年度は赤字決算となったためであります。直近5ヶ年では減少傾向にあり、全国平均・類似団体平均を下回っています。また、平成25年度以降、料金回収率は100%を下回っており、給水に係る費用が料金収入で賄うことができていない状況にあります。これらの要因としては近年の節水意識の高まりや節水機器の普及、給水人口の減少等に伴う水道料金収入の減少、さらに施設の老朽化等に伴う経費の増加による給水原価の上昇等があげられます。今後、老朽施設の更新等により給水原価の増加が見込まれ、さらなる経常収支率の減少も見込まれます。施設利用率は、全国平均・類似団体平均と比較すると低水準で推移していますが、近年給水人口が減少していることなどによるものであり、今後の水需要の動向によって施設規模の見直しを含めた効率的な事業運営計画を検討する必要があります。有収率は、全国平均や類似団体平均を下回っており、漏水等の不明水が理由であることを踏まえると、今後も引き続き老朽管の更新や適正な維持管理を行い、漏水防止対策を進めていく必要があります。
老朽化の状況について
水道施設の老朽化度合を指標する有形固定資産減価償却率については、全国平均、類似団体平均の数値とほぼ同程度ではありますが、管路経年化率は平成27年度では管路割合の約32%が法定耐用年数を超えていることから、計画的な管路更新を行い、重要給水管路を重点的に更新していく必要があります。
全体総括
給水人口の減少等により、水道料金収入が減少する中で平成25年度以降、料金回収率が100%を下回っていることから、更なる経費節減に努めるとともに、今後、施設の老朽化等による更新等を踏まえた施設維持費を含めた適正な水道料金収入の確保等対策を検討する必要があります。また、施設の効率性が低い水準にあることから、今後の人口や水需要の動向に注視しながら施設規模の見直しや老朽施設の更新等の検討を行い、計画的かつ効率的な経営に努めていく必要があります。