経営の健全性・効率性について
①経常収支比率(経常費用に対する経常収益の割合)については、数値が100%未満であることから、単年度の収支が赤字となります。要因としては、平成29年度に料金改定を行い、給水収益の増加を見込んでいましたが、給水人口の減少に伴い、給水収益が減少したことと、減価償却費、企業債利息が大きいためです。令和3年10月に料金改定を行いましたが、令和7年度にも料金改定を行う予定ですので、今後は、改善していく見込みです。②累積欠損金比率(営業収益に対する累積欠損金の状況を表す指標)については、数値が0%となっていることが求めれらていますが、繰越利益剰余金等で補てんできない状況であり、累積欠損金が発生しています。要因としては、給水収益が低いためです。経営の健全化のため、令和3年10月に料金改定を行いましたので、少しづつですが、経営が改善していく見込みです。③流動比率(短期的な債務に対する支払能力を表す指標)については、昨年度と同じく数値が100%を大きく下回っているため、1年以内に現金化できる資産で、1年以内に支払わなければならない負債を賄えていないことになります。要因としては、企業債の償還額が多く、流動負債が流動資産を大きく上回っているためです。今後、令和5年度に企業債(元金)の償還額がピークを迎えるので、水道料金の値上げに伴う給水収益の増加により、少しでも現金を蓄えられるよう経営改善を図ります。④企業債残高対給水収益比率(給水収益に対する企業債現在高の割合)については、昨年度と同じく類似団体より非常に高い状況にあります。要因としては、これまで建設改良のため多額の借金をしたことに伴い企業債現在高が高いためです。面的整備がほぼ完了し、新たに多額の起債の予定がなく償還していくことから、減少していく見込みです。⑤料金回収率(給水に係る費用がどの程度給水収益で賄われているかを表した指標)については、類似団体より低い状況にあり、数値が100%を下回っていることから、給水に係る費用が給水収益以外の収入で賄われていることになります。平成29年度に料金改定をしましたが、供給単価が低廉なため、数値が低いことから、令和3年10月に料金改定を行い、また、令和7年度にも料金改定を予定していますので、適切な料金収入の確保を行っていきます。⑥給水原価(有収水量1㎥あたり、どれだけの費用がかかっているかを表す指標)については、類似団体より低い状況にあります。要因の1つである企業債利息が今後は、減少していくことから、減少していく見込みです。従量料金(現在140円)については、令和7年度の料金改定の際に給水原価並みの料金設定を行います。⑦施設利用率(施設の利用状況や適正規模を判断する指標)については、類似団体と比べて高い水準になっていることから適切な施設規模と考えます。⑧有収率(施設の稼働が収益につながっているかを判断する指標)については、類似団体とほぼ同じ水準になっています。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率(有形固定資産のうち償却対象資産の減価償却がどの程度進んでいるかを表す指標)については、令和2年度も類似団体より低い状況となりました。要因としては、有形固定資産である施設や管路等が比較的新しく、資産が老朽化していないためです。②管路経年化率(法定耐用年数を超えた管路延長の割合を表す指標)については、令和2年度も類似団体より低い状況となりました。要因としては、布設後20年以上の管路更新を実施しているためです。しかしながら、今後、更新が必要になる管路が増加することが考えられるため、事業費の平準化を図り、計画的かつ効率的な更新に取り組む必要があります。③管路更新率(当年度更新した管路延長の割合を示す指標)については、令和2年度も類似団体より低い状況となりました。要因として、管路更新は平成20年度に計画した更新計画に基づき布設後20年以上たつものから順次更新してまいりましたが、平成27年度で概ね完了したためです。耐震化の状況としては全低区配水池に緊急遮断弁を設置し、管路はHPPE管に更新しているところです。管路を更新できるような経営状況ではありませんが、令和5年度中にアセットマネジメント計画を策定し、更新計画を見直し、計画的に更新していく予定です。
全体総括
平成29年度に上水道事業に移行した際に、料金改定を行ったところですが、それでもなお、給水収益が低く、将来、施設・管路の更新を行っていくための財源を確保することが難しい状況であります。そのため、早期に料金改定を見据えて経営改善を図っていく必要がありますので、令和2年度中に料金改定の審議会を行い、答申された料金を基に、令和3年10月に料金改定を行ったところです。令和3年度決算においては、経常収支比率、料金回収率、給水原価については、若干ですが改善していく見込みです。老朽化対策、耐震化としては、法適用のために固定資産台帳を整備しましたので、経営状況が厳しい中でも、令和5年度中にアセットマネジメントを作成し、活用していく予定です。また、令和2年度に策定した経営戦略を活用し、2~3年おきに見直し、これまで算出していなかった指標についても比較検討し、経営の健全化に取り組んでいきます。