経営の健全性・効率性について
大島町の水道事業は、供給した配水量の効率性を示す「有収率」は類似団体平均を上回っていますが、施設の効率性を示す「施設利用率」は類似団体平均を下回る水準で低下を続けており、施設の余剰感が大きくなっています。また、水1㎥を作る費用である「給水原価」が類似団体平均より高いことも影響し、費用を料金で賄っている割合を示す「料金回収率」も改善の傾向にあるものの、100%を下回る水準が続いており、いわゆる「原価割れ」状態が継続しています。その結果、「経常収支比率」も類似団体平均以下でかつ100%を下回る水準、すなわち「経常収支赤字」が続いており、経営赤字の蓄積である「累積欠損金」が毎年度増加しています。さらに、累積欠損金の増加とともに運転資金も減少しており、支払い能力を示す「流動比率」は類似団体平均を大きく下回っている上、平成26年度からは一般に安全とされる100%を切っており、支払い能力に課題が生じています。なお、債務残高水準を示す「企業債残高対給水収益比率」も類似団体平均より高い水準であることから、運転資金を企業債の借入れで賄うことも難しい状況になっています。このため、経営の健全化をめざし、平成28年6月に平均20%の水道料金の引上げを実施したところであります。
老朽化の状況について
大島町の水道施設は、地方公営企業会計制度見直し後の平成27年度時点で、有形固定資産の減価償却の進み具合を示す「有形固定資産減価償却率」が類似団体平均より高い55%となっており、比較的減価償却が進んだ古い資産が多くなっています。また、水道管の更新は十分に実施できず、「管路更新率」が上昇の傾向にあるものの、平成23年度以降は類似団体平均を下回る水準にとどまっており、その結果、平成27年度は管路の経年化状況を示す「管路経年化率」が類似団体平均水準を超えてしまい、管路の老朽化が急速に進んでいます。
全体総括
大島町の水道事業は、経常赤字が常態化している結果、累積欠損金の増加と短期的な支払い能力の低下という厳しい経営状況にあります。その結果、近年は老朽管の更新を行っているものの、管路が老朽化するペースに追いついていません。この状況からの脱却が喫緊の課題となっています。