経営の健全性・効率性について
①経常収支比率②累積欠損金比率経常収支比率はほぼ横ばいであるが、令和元年度は平成30年6月に実施した使用料改定により増加した収入が1年分計上できたため、当期純利益を85,134千円計上し利益剰余金を積み上げた。令和2年12月から第3段階の使用料改定を実施しており、更に経常収支比率の改善が見込まれる。また累積欠損金比率は、平成27年度に使用料改定を実施したことにより解消している。③流動比率100%を切っているが、これは地方債を購入したことによる現金の減によるものである。④企業債残高対事業規模比率第2段階の使用料改定により改善されたが、類似団体に比べると、使用料収入の割に借入が多い。これは公共下水道事業が整備段階にあり、その財源として企業債を発行していることによるものである。第3段階の使用料改定の実施により、更に改善が見込まれる。⑤経費回収率109.86%となっているが決算統計数値誤りによるもので、107.70%が正しい数値。平成30年度に第2段階の使用料改定を実施した結果、経費回収率が100%を超えた。また第3段階の使用料改定を実施しており、更なる改善が見込まれる。今後も汚水処理経費の削減や適切な修繕計画の策定等、経営の効率化を図っていく。⑥汚水処理原価汚水1㎥あたりの処理経費で、147.06円となっているが決算統計数値誤りによるもので、150.00円が正しい数値。⑦施設利用率近年平均値に近づいているため、処理能力が適正に近づいていることが分かる。今後も処理場の統合や農業集落排水処理施設の公共下水道への接続を進め、効率化を図る。⑧水洗化率徐々に平均値に近づいているが、依然として平均値を下回っているため、引き続き接続を推進していく。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率下水道事業が保有する有形固定資産の減価償却がどれだけ進んでいるかを示す指標。平均値を上回っていることから、類似団体の平均と比べて資産の老朽化が進んでいることが分かる。公共下水道事業は整備段階の事業であること、また、2つの処理場を有し、耐用年数が短い機械設備が多いことから減価償却費がかさむ傾向にある。②管渠老朽化率法定耐用年数を経過した管がない。③管渠改善率法定耐用年数を経過した管がないため、管の更新や改良は行っていない。
全体総括
令和元年度は、前年度に引き続き当期純利益を計上し、経営状況は改善の傾向にある。これは平成27、30年度に実施した使用料改定の効果が大きい。長年繰り入れていた赤字補てんとしての基準外繰入も前年度に解消された。さらに令和2年12月に第3段階の使用料改定を実施しているため、今後も経営改善が期待できる。しかし、今後も汚水管渠及び雨水管渠の布設並びに処理場設備の更新などの事業が予定されていることから、施設の統廃合の推進や汚水処理経費の削減など、事業運営のさらなる効率化を図っていく。また、平成29年度に策定した経営戦略に対する進捗状況を毎年管理することで計画と実態の乖離を把握し、経営健全化に努めていく。