経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は113.72%で、100%を超えているため、黒字となった。前年度を大きく上回った理由として、単価改定による受水費の減や、耐用年数を迎えた資産が多かったことによる減価償却費の減などにより、経常費用が抑えられたものと考えられる。②営業収益が大きいことから、現在のところ発生していない。③流動比率は昨年度とほぼ同率で横ばいとなった。流動負債の支払いに充当できる流動資産は、平均値を大きく上回っている状況である。④企業債残高に対する給水収益の比率は、更新工事に伴う起債の借入をしていないため、低い割合となっている。⑤料金回収率は依然90%越えで推移しており、給水に係る費用は給水収益でほぼまかなえている状況である。⑥給水原価は昨年を下回った。理由として①でも述べたように、受水費や減価償却費の減により、費用が抑えられたためである。⑦施設利用率は昨年度とほぼ同率であり、新規需要が落ち着いたと思われる。⑧有収率は前年度比減となった。年々減少している状況を踏まえ、無収水量の要因調査など有収率の改善に努めていかなければならない。
老朽化の状況について
有形固定資産原価償却率がおよそ70%となり、管路経年化率は昨年に引き続き急激に増加している。有収率の低下にも関係するため、水道管の管理や調査を適切に行っていく必要がある。今後、アセットマネジメントを通して管・施設等の更新計画を立て、優先順位が高いものから順次更新工事を行っていかなければならない。管路更新率については、開発行為による布設替えを行ったものである。
全体総括
令和2年度は、経常収支比率が前年度を大きく上回り、流動比率・料金回収率も全国平均を上回るなど、経営状況を見ると悪くない数字だが、以前より課題として挙げていた施設・資産の更新や有収率の低下については引き続き対応していかなければならず、施設更新計画や水道事業アセットマネジメント、無収水量の要因調査など、より具体的な対応策を実行し経営と資産管理の両方を安定させられるよう努めなければならない。