経営の健全性・効率性について
収益的収支率が、今年度は70%を超えており、前年、前々年度と比べ改善がみられる。しかし、これは平成31年4月1日から法適用企業となるためにこれまでの累積赤字を解消する目的で一般会計からの繰入金が増加したことが要因となっている。本年度が打切り決算のため例年より少ないことも特殊要因としてあるが、下水道使用料収入が4億6千万円に対し、起債の元金償還が11億8千万円、同支払利息が1億3千万円で、大幅な債務超過と言える。また、施設利用率が60%を切る状況となっているが、これは人口減少等を勘案し供用区域拡張を休止していることが要因と考えられる。ただし、令和2年度から汚水の共同処理事業として浄化槽汚泥と汲み取りのし尿を受け入れることになっており、これによって収入と施設利用率の増加が見込まれている。
老朽化の状況について
昭和63年度の供用開始から30年が経過し、経年劣化による故障等も多くなってきている。施設の更新については、長寿命化計画を策定し、それに基づき事業を実施してきたが、これまでは耐用年数が経過している機械・電気設備の更新や補強によって延命が可能な施設の補強工事が主なものとなっていた。しかし、管路についても耐用年数が近づいていることや不明水も見受けられるため、管路の状況調査に取り組むとともに、令和2年度からストックマネジメント計画の策定にも取り掛かり、更新費用の抑制や平準化に努める予定である。
全体総括
毎年度の起債の元利償還金が、使用料収入の倍以上で、これまでもランニングコスト削減は行っているものの経営状況改善までには至っていない。また、将来需要や経営状況を勘案し区域拡大を休止しているため、近年の建設改良費は抑制出来ているが、老朽化による大規模な施設更新が想定されるため、将来的には建設改良費の増加も予測される。一方、区域拡大を抑制したことで人口減少地域が少なく、下水道区域内の人口は横ばいであるため使用料収入の大幅な減少は見られない。また汚水の共同処理事業による収入増が見込まれること、加えて多額で高金利の事業開始当時の起債の償還が完了してきており、経営面で改善を見込んでいる。