経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、前年度と比較すると6.48ポイントの上昇となった。単年度収支は黒字ではあるが、余力がない状態であるため、下水道使用料をはじめとする収入の増加や支出の適正化に更に取り組む必要がある。②累積欠損金は発生していないが、これは、剰余金により補填している経緯があるため、剰余金がなくなる前に収入の増加や支出の適正化に更に取り組む必要がある。③流動比率は、100%を下回っているが、これは、当市では現在も下水道面整備を進めているために企業債借入に係る流動負債が多いことが要因と考えられる。今後、その償還の原資には、面整備後に新たに供用開始となる区域の者から得ることができる下水道使用料収入を充てる予定としており、支払いに支障はないと考える。④企業債残高対事業規模比率は、前年度と比較すると15.80ポイントの上昇となった。これは、企業債に係る一般会計負担額が減少したことに起因すると考えられる。⑤経費回収率は、100%を下回る状態となっているため、下水道使用料の適正化や汚水処理費の削減に向けた取り組みの検討を更に推進する必要がある。⑥汚水処理原価は、類似団体と比較すると高い状態にある。これは、流域下水道に係る維持管理負担金の処理単価が高く、費用構成の大半を占めていることが要因と考えられる。引き続き、負担金の改善を協議するとともに、広域化等による改善策を検討する必要がある。⑧水洗化率は、類似団体と比較するとほぼ同水準を維持しているが、汚水処理の適正化や下水道使用料収入の向上を図るため、水洗化促進の取り組みを更に強化する必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率について、当市は流域関連公共下水道のみで、処理場等施設の資産を持たず、大半が管渠資産であるため、減価償却は類似団体と比較しても低い状態にある。また、老朽化についても事業開始から約30年で、管渠の一般的な耐用年数50年に対し、半分程度の減価償却であるため、修繕に要する費用はまだ大きくはない状況にある。令和7年度の概成後は、更新・長寿命化に焦点を当て、減価償却の状況を踏まえつつ、投資計画等を見直していく必要がある。
全体総括
下水道事業を円滑に運営するため、下水道使用料や汚水処理費の適正化等により、収入の増加や支出の適正化に更に取り組む必要がある。また、当市の下水道面整備は終盤を迎えているため、今後は費用対効果と中長期的な施設維持を見据えたストックマネジメント計画を軸に、持続可能な下水道事業運営を考えていかなければならない。これらの取組を推進するため、国が推進する広域化・共同化計画を活用することも経営効率化の方策の一つと考える。