経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は、右肩上がりではあるが60.17%とまだまだ低く、使用料収入等の収益で地方債償還金等の費用を賄えていない。原因としては、使用料単価が低く料金収入が少ないことが挙げられる。現行の使用料単価は、維持管理費を賄うだけの単価設定となっており、地方債償還金分の回収は僅かであるため一般会計からの繰入金に頼らざるを得ない状況である。H30年度より農業集落排水事業を公共下水道事業に統合したため使用料収入は増収となっている。それにより前年度対比で3.61%改善しているものの、さらなる経営改善に向けた取り組みが必要である。H31年4月には料金改定を行っているため、次年度はそれに伴う収入増を期待したい。使用料収入に対する企業債残高の割合は、類似団体の全国平均と比べ約4倍であり、割合が高くなっている。これは使用料単価の低さが主な原因である。経費回収率は、類似団体の全国平均の半分以下である47.09%となっている。これは使用料で回収すべき経費を賄えていない状況であることを示しており、回収率100%に近づけるよう適正な使用料収入の確保及び汚水処理費の削減が必要である。現在、接続率や収納率の向上を図ることで、使用料収入の増額を目指している。汚水処理に要した費用では、全国平均よりも低い金額となっている。施設の処理能力に対する処理水量の割合、処理区域内で水洗便所を設置して汚水処理している人口の割合は、全国平均より高い数値となっている。これらを更に向上させるため、施設が十分に機能を発揮できるよう努めるとともに水洗化率の向上、経費の削減にも取り組む必要がある。
老朽化の状況について
管渠の標準耐用年数は50年であるが、建設後40年以上経過している管渠もあり、今後においては緊急を要する修繕等が発生する可能性がある。それを回避するため、ストックマネジメント計画に基づく管渠の点検調査や改築工事を実施している。また、供用開始から34年が経過した西条浄化センターにおいても、ストックマネジメント計画に基づき、順次改築工事を実施している。管渠について、今後、標準耐用年数に達し改築更新時期を迎える管渠が増加すると見込まれるため、施設の回復・予防保全のための修繕を実施するとともに、事業費の平準化を図り、計画的かつ効率的な維持修繕・改築更新に取り組む必要がある。
全体総括
収益的収支比率や経費回収率の改善に向け、使用料収入の増加と維持管理費などの経費の節減努力を継続して行う。H30年度より農業集落排水事業を公共下水道事業に統合したため使用料収入は増収となっている。これにより収益的収支比率及び経費回収率は若干の右肩上がりとなったが、100%を大きく下回っているため、今後も徴収率の向上や水洗化率の向上に努めるとともに、投資の平準化による借入額の抑制を行い一般会計繰入金の減少にも努める。H31年4月には料金改定を行っているため、次年度はそれに伴う収入増を期待したい。老朽化対策については、ストックマネジメント計画に基づく管渠の点検調査や改築工事を実施している。整備や管理に係る費用についても、費用対効果を検証しながら、平準化を図りつつ計画的かつ効率的な維持修繕・改築更新に取り組む必要がある。安定した収入の確保と投資の効率化や維持管理費の削減、接続率の向上による有収水量を増加させる取組などを行い経営改善に努めていく。