経営の健全性・効率性について
河津町水道事業は、旧簡易水道を統合し創設された。大規模浄水場を持たず、10箇所の小規模水源から取水し、広域のエリアごとに配水しているため、ダウンサイジング等によるコストの抑制が難しいシステムになっている。また、それぞれの流末で排水しながら管理している現状から「有収率」を改善することは今後も困難である。「施設利用率」については、観光地の特性上、季節によって使用量が異なるため、配水能力は最大使用量に耐え得るシステムを維持しなければならず、年間平均値は下がってしまう。「企業債残高対給水収益比率」については、支払能力としての留保資金とのバランスをとりながら、起債による資金調達をしつつ、施設更新を引き続き行っていく。「経常収支比率」が示す収支不足については、内部留保資金で対応しているのが現状である。「経常収支比率」や「料金回収率」の改善を図るため、令和4年4月1日から約33%増の料金改定を予定している。しかし、料金改定による収益増に頼らず、広域連携等を活用しながら支出の抑制に努め、安定した事業運営を行っていく必要がある。
老朽化の状況について
「有形固定資産減価償却率」が高い率を示しているとおり、水道施設等もここ数年で一斉に耐用年数を迎え、更新を迫られている。耐震性の低い老朽化した施設・管路から優先順位を高くし、更新・布設替えを実施している。資金調達も含め、アセットマネジメント及び経営戦略の結果を基に、計画的な設備の更新を実施していく予定である。
全体総括
水道施設の更新が迫っており、今後より一層経費の増加が見込まれる。また、定住・交流人口減少による給水収益の減少は、確実に進むと推測される。また、コロナ禍による社会情勢の不透明さも給水収益に大きく影響すると想定される。この背反する傾向は水道事業の安定した経営にとって大きな問題として捉えている。まずは収益改善策として、昭和58年以来改定されていない水道料金の改定を令和4年度に行い、収益を維持し留保資金を確保していくことが重要と考える。それにより、計画的な施設更新・長寿命化が可能と考える。