経営の健全性・効率性について
一般会計からの繰出基準を見直したことにより平成29年度から経営指標が改善された(平成29年度の指標⑤⑥には計算誤りがあり、正しくは本年度実績に近い値。)。本年度においては、①④⑤⑥⑧の指標が前年度から改善しており、とくに⑤⑥については前年度から類似団体並みとなっている。これは令和5年度整備概成に向けた整備拡張の収れんによる建設改良費の縮減と起債残高の減少、経営戦略に基づく水洗化促進等への取組み等によるものと分析している。指標⑦については、一部合流区域における消雪水等の天候の影響を受けやすく分析は難しい。汚水処理量は微増状態にあり、施設利用率はほぼ横ばい状況とみている。
老朽化の状況について
令和2年度の公営企業会計移行に伴う固定資産台帳整備により、資産ごとに経過年数や減価償却費が把握できることとなっており、本年度においては指標①②を求めることはできていない。管渠の延長は約420kmで、最古のものでも法定耐用年数を超えていない。今後は、平成30年度に策定した市ストックマネジメント計画に基づく計画的な調査の実施結果を確認する中で更新計画を策定していく。市内3か所の処理場については、最古のものが約40年を経過しており、これまで老朽化の程度に応じて、順次改築・更新を進めてきた。今後は、供用後の年数がそれ程経過していない他の2処理場を含め、日常的な点検結果等を踏まえた改築・更新計画を策定し、今後計画的に設備更新を進めていく。
全体総括
本市の公共下水道事業は、特定環境保全公共下水道区域を含む2185haにおいて区域拡張の整備を行うとともに、3か所の処理場を建設、管理しており、整備人口に対する事業費は割高となる傾向にある。本事業を今後も安定的に運営していくには、まず⑤⑥⑧の改善に努め、さらに①④の改善につなげていく必要がある。これには収益確保と経費削減の両面から経営改善に取り組む必要があり、ほかの下水道事業と一体的に、地元との連携による地域ぐるみでの水洗化促進や大口需要家への接続勧奨、滞納整理の強化などによる収益確保と、水道事業との業務一元化やアウトソーシング推進による経費削減への取り組みを実施していく。