経営の健全性・効率性について
①使用料収入や一般会計からの繰入金等の収益で、維持管理費や支払利息等の費用をどの程度賄えているかを表す経常収支比率は、100%を上回っており単年度収支は黒字となっているが、経費回収率が100%を下回っていることから、一般会計からの繰入金に依存している状況である。②営業収益に対する累積欠損金の状況を表す累積欠損金比率は、0%で、累積欠損金は発生していない。③1年以内に支払うべき債務に対して支払うことができる現金等がどの程度あるかを表す流動比率は、100%を大きく下回り、類似団体平均や全国平均も大きく下回っている。今後作成予定の経営戦略の中で投資財政計画を見直し、内部留保資金の確保に努める。④使用料収入に対する企業債残高の割合を表す企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均や全国平均を大きく上回っている。これは公共下水道事業が整備途中であり、企業債を発行していることや使用料収入が低いことによる。今後、面整備を適正に進めながら、料金改定についても検討する必要がある。⑤使用料で回収すべき経費を、どの程度使用料で賄えているかを表す経費回収率は、80.45%と100%を下回っており、使用料改定を見据えた使用料水準の適正化について検討する必要がある。⑥有収水量1㎥当たりの汚水処理に要する費用である汚水処理原価は、類似団体平均を下回っているが、全国平均を上回っている。今後、費用削減のために不明水対策などを継続的に行っていく必要がある。⑦施設・設備が1日に対応可能な処理能力に対する、1日平均処理水量の割合を表す施設利用率は、類似団体・全国平均を下回っているが、下水道事業が整備途中であり、整備が進捗すれば率は上昇する。⑧現在処理区域内人口のうち、実際に水洗便所を設置して汚水処理している人口の割合を表す水洗化率は、類似団体平均を上回っている。今後も100%の実現を目指し、接続への普及活動を続けていく。
老朽化の状況について
①有形固定資産のうち償却対象資産の減価償却がどの程度進んでいるかを表す有形固定資産減価償却率は、類似団体平均、全国平均を大きく下回っている。これは平成31年度から地方公営企業法を適用した際、平成30年度までの償却累計額相当分を資産価額から差し引き、資産を新たに取得したと見なして帳簿価額を決定している影響であり、前年度末までの減価償却累計額が無いため、低くなっている。②法定耐用年数を超えた管渠延長の割合として管渠の老朽化度合を表す管渠老朽化率は、類似団体平均、全国平均を上回っている。ストックマネジメント計画に基づき計画的に管渠の更新工事を実施していく必要がある。③当該年度に更新した管渠延長の割合として管渠の更新ペースを表す管渠改善率は、類似団体を上回っているが、全国平均を下回っている。ストックマネジメント計画に基づき計画的に管渠の更新工事を実施していく必要がある。
全体総括
単年度収支は黒字となっているが、経常収支比率や経費回収率などから分析すると、使用料収入の不足分を一般会計からの繰入金で賄っている状況である。また、法適用初年度であり、現金などの内部留保が少ない状況である。今後は、更なる面整備や、法定耐用年数を超えた管渠、ポンプ場及び処理場の更新などの投資面と、それを賄う財源面を経営戦略に基づき、適正に見込んでいく必要がある。そして健全で安定した下水道事業の運営に努める。