経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は79.08%と近年増加傾向にありますが100%に満たないため、この指標が100%に近づくよう使用料の改定など経営改善に向けた取り組みが必要になります。下水道整備に要する費用の平準化を図るため、平成27年度から資本費平準化債を発行していることにより、④企業債残高対事業規模比率は類似団体平均値より高い状態で推移しており、低い水準へ改善するためには適正な料金への改定を行い営業収益を増やす必要があります。⑤経費回収率は前年度の98.31%から127.55%と大幅な上昇となりました。これは公営企業会計移行に伴う打ち切り決算による一時的なもので、本来は100%を下回る水準であることから使用料で賄えるよう適正な料金の改定と収入確保が必要となります。⑥汚水処理原価は平均値を大きく下回りました。その要因は公営企業会計移行に伴う打ち切り決算による一時的なもので、本来は200円前後を推移します。今後は水洗化率を向上させることにより有収水量を増やすとともに、経営の効率化を図る必要があります。⑦施設利用率は60.54%、⑧水洗化率は88.25%と類似団体平均値を大きく下回りました。水洗化率向上に努めるとともに、人口減少に伴う施設のダウンサイジングを検討する必要があります。
老朽化の状況について
管渠施設は、昭和56年度に下水道建設を開始してから38年が経過し、今後耐用年数を迎える管渠の更新に対応するため、ストックマネジメント計画を作成し、最適な施設管理を行っていく必要があります。しかしながら、①収益的収支比率が恒常的に100%を大きく下回っているため、今後発生する管渠の更新費用に対する財源確保に向けた対策を講じる必要があります。処理施設については、昭和61年の供用開始から30年以上が経過しました。耐用年数(10~15年)を超える機械・電気設備も多くあることから、引き続きストックマネジメント計画に基づき計画的に改築・更新を行っていきます。
全体総括
今後見込まれる施設の改築更新費用の増加、人口減少による使用料収入の減少等を踏まえ、快適な市民生活を支える下水道事業を持続的に提供していくためには、安定した下水道経営の実現が不可欠です。そのためにも、的確な経営分析を行い、適正な料金となるよう使用料改定を行うとともに、有収水量の向上や業務の効率化に取り組む必要があります。今年度は、公営企業会計移行に伴う打ち切り決算による一時的な数値となっています。