経営の健全性・効率性について
「経常収支比率」は103.10%から123.52%で推移し経常黒字となっている。しかし今後給水人口の減少により、料金収入の減が見込まれ、「経常収支比率」は低下するものと考えられる。「流動比率」は、現金等の流動資産が減少し、企業債償還等の流動負債が増加するため、「流動比率」は徐々に減少していくものと考えられる。「企業債残高対給水収益比率」は類似団体平均の6割程度となっており、現時点での経営の健全性は確保されている。しかし今後は給水人口の減少により、料金収入の減が見込まれる。また、送水管布設替事業、高度処理施設の更新に等に係る新規起債により、経営の厳しさは増していくと考えられる。「料金回収率」は過去5年の平均で約110%となっており、支出に対して適正な料金水準と考えられる。「給水原価」は類似団体平均、全国平均を上回っており他団体と比較し高くなっている。今後料金収入の減少が見込まれることから、「料金回収率」の低下と「給水原価」の上昇が進むと考えられる。「施設利用率」は類似団体と比較し高くなっている。適正な施設規模となっているが、総配水量は減少しており、今後施設の余剰能力が大きくなるものと思われる。「有収率」は類似団体、全国平均より低くなっており対策が急務となっている。
老朽化の状況について
「有形固定資産減価償却率」は全国平均より高く、施設全体の老朽化が進んでいる。浄水場電気設備更新事業、送水管布設替事業により一時的に数値の改善が見込まれるが、長期的には数値が上昇する傾向にあると思われる。「管路経年化率」はS50年代に布設した管路が多く、類似団体、全国平均より高い水準で、今後さらに数値が上昇する見込みである。「管路更新率」については、高度浄水処理施設の整備をはじめ、浄水施設を優先的に整備したため、管路更新は進んでいない状況であり、対策が急務となっている。
全体総括
経営の健全性については現在確保されているが、今後料金収入の減少が続き、更新時期を迎える資産の増加が見込まれることから料金の見直しを検討する必要があると考えられる。しかし、料金は類似団体と比較しても高い水準であり、コスト削減をすすめ、効率的に事業を行うとともに広域化についても検討を行うべきと考えられる。施設の老朽化が急速に進行しており、特に管路の布設替を進める必要がある。近年は高度浄水処理施設の整備をはじめ、浄水施設の整備を優先し、管路の更新が進んでいない現状がある。給水人口の減少を見据え、適切な施設規模での更新を図り、新規起債額を抑制することにつとめ、更新計画・耐震化計画を策定し、計画的に管路の整備を進める必要がある。