経営の健全性・効率性について
【①収益的収支比率】前年比1.73%の増と改善傾向は見られるものの依然として当該指標が100%未満であるため、単年度の収支が赤字であり、市一般会計からの繰入金に依存していることが示されている。平成31年3月31日で打切決算をし、企業会計へ移行したため、固定資産台帳等のより精度の高い財務諸表を基にしたコスト計算や経営分析が可能となったことから、今後適切な経営計画を策定し経営改善に努める。【④企業債残高対事業規模比率】企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均より低い水準となっているものの、将来的に事業当初に整備した管渠等の老朽化による改修・布設替による企業債借入の増加が見込まれることから計画的整備が課題となってくる。【⑤経費回収率・⑥汚水処理原価】打切決算の影響もあり、前年度よりも経費回収率で5.61%の減、汚水処理原価で18.03円の増となった。いずれも類似団体平均値に達していないことより、使用料収入の増及び費用削減に努める必要がある。【水洗化率】95%以上の数値を維持しており、類似団体平均値よりも上回っている。今後も適切な汚水処理及び使用料収入の増加を図るため、更なる接続促進に努める。
老朽化の状況について
公共下水道事業については、昭和47年より建設に着手、昭和60年1月1日から共用開始し35年が経過している状況である。令和5年以降から、当初に建設した管渠等の改築更新によるコストが増大することが見込まれることや人口減少社会の到来による使用料収入の減額が想定される状況で、下水道施設全体を俯瞰して将来にわたる改築需要を勘案しつつ、維持管理・改築・修繕の一体的な最適化を図る長寿命化計画を策定し、持続的な下水道事業運営を確保していく予定である。
全体総括
企業債残高対事業規模比率及び水洗化率は類似団体平均よりも高水準にあるが、収益的収支比率が100%を下回っていることや公債費の1/2は一般会計からの繰入金に依存しなければならない状況は、今後も続くと見込まれる。平成31年4月1日より地方公営企業法を適用し、事業全体のさらなる経営改善に努めるために、より経営状況の適格な把握及び下水道資産の適切な管理を図り、中長期的な経営計画の策定が重要となる。