経営の健全性・効率性について
今年度から料金の値上げ改定を行った結果料金収入が増加し、経常収支比率は前年より約15%高い118.47%となり、26年度実績まで回復しました。企業債残高対給水収益比率は前年比で36%減少し、供給単価が上昇したことで料金回収率も17%上昇。経営状態は大幅に改善されたと言えます。流動比率は100%を超え、短期的な支払能力に問題はありません。企業債残高対給水収益比率は176.71%と類似団体平均よりは大幅に料金収入に対する償還の負担が少ない状況です。今後も企業債の発行を抑えつつ、建設改良積立金の増資を図り、適切な投資を行っていく必要があります。給水原価は類似団体平均に迫る213円28銭となっており、経常経費は横ばいの状況が続いています。引き続き経費の抑制に取り組んでいく必要があります。施設利用率は漏水修繕対策の結果配水量が抑えられたため、類似団体平均よりやや低い数値となりました。有収率は27年度から配水管の漏水調査を行い、こまめな修繕等対策を行ってきた結果、過去5年で最高の85.05%に達しました。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は今年度も45.3%と類似団体平均とほぼ同じ数値を示しており、法定耐用年数が近い資産が徐々に増加しています。管路経年化率は9.53%と前年からさらに上昇しました。法定耐用年数に達した資産が徐々に増加したことが原因です。資産の適切な更新と除却を進め、安定した水の供給を維持していく必要があります。管路更新率は配水管敷設替えの増加によって、1.29%と前年よりさらに上昇しました。現状の管路更新は区画整理事業や道路改良工事に伴う敷設替えを中心に計画通り進められていますが、財源はこれらの事業に拠るところが大きいため、自主財源の状況を見極めながら、適切な投資計画に沿って管路を更新していかなければなりません。
全体総括
前年決算までは料金収入の減少が続き、将来の健全経営が危ぶまれる状況でしたが、料金の値上げ改定により料金収入が増加したので、当面は欠損金が発生するような事態に陥る可能性は低くなりました。しかし給水原価が横ばいであることから引き続き経常経費の抑制に取り組む必要があります。設備投資においても、限られた財源の中で老朽化した管路等施設の更新を進めているところですが、財政状況がひっ迫すれば更新も滞ることになり、結果として安定した水の供給に影響が出ないとも限りません。こうした状況を未然に防ぐため、安定した収入を確保し、経常経費の削減に努め、適切な設備投資を計画的に行い、安全な水を安定的に供給できるような経営を目指していかなければなりません。